6.5.6 妹が生まれた
食事を終え、手を綺麗に洗った後でアメリ母様の部屋へと向かった。
部屋に入ると、甘いなんというか、赤ちゃん独特の匂いがした。
アメリ母様はベッドに居るが元気そうだ。
その横に小さなベッドがあり、赤ちゃんはそこにいるようだ。
覗き込むと、赤ちゃんが寝ている。髪の色は銀髪。レイブリング父様と同じ色だ。
「髪はお父さまと一緒なのですね」
「そうね、貴方の髪の色は私と一緒だったけど、この子はお父さまに似たみたいね。でも目は緑で私と一緒なのよ」
リリアーナ母様とアメリ母様は目の色も髪の色も一緒。血液型判定やDNA判定が無いこの世界では、親との繋がりの証明は髪や目の色だ。
ただ、3代ほど遡った色が出ることがあり割とあてにならない。
僕の目の色は両家のおじい様から引き継いでいるらしい。
僕に至っては、だいぶ遡る。父方の方は僕から見てもおじい様だが、アメリ母様の方は、母親の父が金眼だったらしい。曾じい様だ。
もしくは、亡くなったおばあさまの血筋にも金眼が居たらしいからそちらかもしれないのだが。
この子は、銀髪に緑の眼。
今のところ表面上は過酷な運命を持って生まれたわけではなさそうだ。
僕の妹だから転生者という線も外せないのではあるが。
将来が楽しみだ。
笑いかけると、赤ちゃんはニマッと笑ってくれた。
「かわいいですね。お母さま」
「そうね。抱かせてあげたいけど、また今度ね」
「はい、壊しそうで、もう少ししっかりしてからにします」
そう言って、僕は部屋を後にした。
「どう、ジルちゃん。妹の生まれた感想は」
「最初に聞いた時は、今までもエレノアやニナが居たから妹がもう一人で来たんだなーって感じだったけど、直接見るとやっぱり違うね。僕とは髪や目の色は違うけど。なんか血のつながりってやつ。なんか良くわかんないけど、妹って感じはひしひしとした。僕がお兄ちゃんなんだって」
「そっか」
「エイミーは、兄弟は?」
「兄が2人いるよ」
「そうか、エイミーも妹なんだ」
「そうそう。小さい頃はかわいがってくれたよ。小さい時から兄たちと剣を打ちあってたからこうなっちゃったけど」
「あー、なるほど。つまり僕があまりかまいすぎると魔法か剣に偏る可能性があるわけか」
「そうかもね」
「うん、気を付けるよ」
「ほどほどに可愛がれば良いじゃない。一緒に住めるのは短い間だし」
「そうなんだよねー。まあ父親も違うし、嫌われないようにするよ。お兄様、臭いです、近づかないでくださいって言われないようにしないとな」
「なんで、臭いなのかな。ジルちゃん良いにおいするよ。大丈夫だよ」
「あはは」