6.4.9 婚約のお披露目
「あ、おはよ」
「おはようございます」
「ぐっすり眠れた?」
…そう言えば、ジルベール様の隣だと言うのに緊張することもなくベッドに入ってすぐに眠ってしまったようだ。そして目覚めも良い」
「はい、そうみたいです」
「ジルちゃん、寝ながらでも音の遮断をしてるらしいけど、たぶんリラックス効果のでる聖属性魔法も併用してると思うんだよねー」
「そうなのですか」
「うーん、たぶんね。寝ながら魔法を継続するのはコハクとジルちゃんしかできないけど、コハクの結界だけでも似たような効果があるから、多分ジルちゃんの防音の魔法も似たような事をやってるんだと思うんだよね」
「複数魔法もそうですが、複数の属性魔法を併用されているのですね。それも無意識に。お二人ともすごいです」
「まあ、コハクちゃんは精霊系のなんかで、格がかなり高いらしいし、ジルちゃんはジルちゃんだからね。それにしても、害意が無いとこうして隣で話していても起きないんだから、正直防音の魔法って必要無いと思うんだよね」
見ているとエイミー様はジルベール様の頬を突っついていた。それでも全く起きる気配はない。こうしてみると11歳の少年の寝顔だ。
起きている時は理知的で大人びた印象を受ける。とても11歳には思えない。仕えるべき主人といった感じがするが、この寝顔はとても愛くるしい。
「さあ、エリンちゃん、この子が寝てる間に支度をしよう、時間になって起こされるまでは起きないからさ」
「はい」
ベッドから離れる時に、そっとジルベール様の頬を突っついてみた。赤ちゃんのように柔らかい感じが気持ちよかった。
そうして、私はエイミー様に続いてベッドから起きて支度を始める。
今日で、ジルベール様はご実家に帰られるそうだ。
次にお会いするのは皆様方と一緒にシドニアに帰る時だ。その時前にこの城で学べることを吸収しなければ。
近い未来に、ジルベール様にお仕えするためにも。
いつもお読み頂きありがとうございます。
誤字訂正も有り難いです。
ついでに、お正月のお年玉に星★期待してます。
今年もよろしくお願いします。