1.13.5 後見人
私は事前に十分に準備を行った後で3公爵の会合に臨んでいる。
もちろん他の2公爵は私が後見人に名乗り出るとは夢にも思っていないはずだ。
互いに互いを牽制する準備しかしていないはず。
今回もいつも通り勝てる勝負だ。
時間となり3人の会合が始まった。
会合はオルトディーナ公爵の言葉から始まった。
オルトディーナ公爵の下に金眼の子が極端に少ないことを説明し自分もジルベールの後見人となり、成人のときにどちらの庇護下に入るか選ばせたいと申し出た。
カルスディーナ公爵は自分の領域に入り込むオルトディーナ公爵に少し怒りの表情を見せる。
だがカルスディーナ公爵の下にはこの10年で3人の金眼の子がいるが、オルトディーナ公爵の方にはこの10年金眼の子が生まれていない。
それは2人とも知っている事実。
大人げなく怒るほどのことではない。
カルスディーナ公爵はこう考えているはずだ。
カルスディーナ公爵は、ジルベールの右目が金眼としか知らない。
右目が金眼の者が、育った領地を捨てて外に行くと考えない。
だからカルスディーナ公爵の有利は変わらない。
なので、オルトディーナ公爵も後見人となり人員を出してくれるならばジルベールの安全はより強固なものになる。
デメリットを感じないはず。
恐らく、平和的に彼の意見を受け入れるだろう。
逆にオルトディーナ公爵はこう考えているはずだ。
ジルベールは左目が金眼、育つにつれ他の領主との関わりを持てば自分の領地に興味を持つだろう、そして自分が与えるのは大侯爵の領地。クロスロードのような田舎の中侯爵とはわけが違う。大人になれば自分の陣営に来ると疑っていない。それゆえの提案だ。
「良かろう、オルトディーナ公爵の後見を受け入れよう」
カルスディーナ公爵がそう返事をし、このまま平和に終わるかと思われた。
よし、ここだと私が口火を切った。