5.12.7 防衛戦後の始末
ノックの音がして、扉がゆっくりと開く。
「ジルベール様、ラルクバッハの王妃様のところへご案内します」
コレットちゃん、かなりしょげている。そうとう怒られたらしい。
「どうぞ、こちらへ」
部屋を出ると、女性騎士が二人立っていた。
「私たちがご案内します」
1人の騎士が声をかけてきた。その人は、皮鎧だが金糸で飾られた綺麗な鎧を着ていた。そして髪には一つ輝きがある。その後ろにいる女性騎士も同じ髪飾りを付けている。城内ではフェイスガードの代わりに装備品として髪飾りを付けているのだろうか。もしかしたら魔道具になっているのかもしれない。
勝手に鑑定するのは止め、女性騎士に前後を挟まれた状態で王宮内を移動した。
少し前まで王城にいたが、その時は王宮ではなく別の建物だったのでこの城の構造は全くわからない。ラルクバッハの王宮内は少しだけ歩いたことがあるけど、そことも違うようだ。
少し歩くと壁紙の雰囲気が変わった。そしてそのまま進むと以前シドニアの文官たちと話をしたところに着いた。
どうやら居住区から出て仕事場に着いたようだ。
部屋の前には、エイミーとトシアキが待っていた。
「護衛を代わります」
「よろしくお願いします」
そう言って二人の騎士が僕の後ろに下がった。
「護衛って、城で守ってもらう必要は無いと思うけど」
「実際のところ、他に何もさせて貰えませんので暇なんです」
めずらしくトシアキが愚痴っぽいことを言った。
トシアキは、僕が居ない時にいろいろと雑用をこなしたり情報を集めてくるのだけど、今回は何もさせて貰えなかったのだろうな。
「エイミーはコハクについていると聞いたけど」
「コハクはさっき目を覚ましたよ。で、マリアテレーズ様やスザンヌ様と同じところにいるって言うから、連れて行ったんだけど。そしたら護衛は必要無いって追い出されちゃったんだ」
まあ、他国の上、王宮の中だし。
「で、さっきこっちにジルちゃんが来るって言うからこっちに来たところ。でもトシアキがジルちゃんのために情報が集められないって、ふてくされてるだけじゃなくて、僕にもあたるんだ。いい加減にして欲しいよ、ほんと。でも実際、今のこのあたりは非常事態だからって人が多いんだ。シドニアの兵士だけじゃなくて、ラルクバッハの兵士も混ざったし。だから重要なところは、見た目でシドニアの騎士ってわかる人以外は入れないんだよね」
僕らがそんな会話をしていると、部屋の入室許可が出たらしく扉が開いた。




