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5.8.3 エミリアの母と


「昨日はシドニアの学園を見に行ったのでしょう。どうだったかしら」


「気になったのは、ルビースカリナ様ですね」

 ルカレディック王子がそう答えた。

「あら、わたくしと言う婚約者がいるのに。最初に出るのが別の女性の名前ですか」

「いや、そういうわけではない。そういう方向ではなく。解るだろう、なあフィリップにジルベール」

 そこで男性に話を振るのが失敗だと思うのだけど。まあ解るけどね。

「とても目立つ容姿でしたが私は直接話していないので良くわかりません。確かジルベールとスザンヌ姉様も話していたはずです」

「ええ、おかあさま。エミリア様じゃなくてわたくしのお母さまとも違うとても強い女性だと感じられました。とても学園に在学している学生の雰囲気ではなかったわ。私が圧倒されるぐらいだったもの。でもあの方は年下の男子には興味が無いそうよ。だから安心したのだけど。最初に夜の歓迎会に来なかったのは王子が2人とも年下だと聞いていたからだそうです」

「まあ、あの方ですからね。しょうがないわ」

 ロマーニャ様の今の言葉。

「ロマーニャ様、今、「あの方」とおっしゃいましたよね。前王妃であられる貴方様が「あの方」と言うことは、やはりご存じなのですか」

「ああ、貴方達は知らないのね。あの子が10歳ころかしら、自分で言っていたのよ。大半の人は嘘だと思っているけど、私は信じているわ」

「どんなことですかおばあさま」

 ルカレディック王子が続けて質問をした。

「あの子は、自分がイザベラ・アルフォンスの生まれ変わりだと言ったのよ」

「イザベラ・アルフォンス。アルフォンス王国の前女王で30年程前に王族同士の反乱によって殺された」

「彼女がそう言いだした時にここで会ったわ。わたくしはイザベラ様が亡くなる前に会ったことがありますから、真実かどうかも解ると思ったわ」

「どうだったのですか」

「あの子は、わたくしとイザベラ様が謁見した時の事を質問したのだけど、とてもイザベラ様らしい答えだったわ」

「なんと答えたのですか」

「『他国の王妃と言っても、シドニアの田舎娘。それも当時はまだ結婚前で公爵令嬢だったのでしょ。このイザベラが興味のない女との会話など覚えているわけがないわ』そう答えたのよ」

「それでは、前世の証明にはなりませんね」

「ええ、でもイザベラを知る私には余計に信じられる答えだったわ。それにアルフォンス王国の王宮の中については驚くほど詳しかったし」

「では、彼女の前世はイザベラ様だと。なるほどだから女王前とした態度だったのですね」


「僕の鑑定にも前世がイザベラと表示されてましたよ」

「ジルベール様の鑑定はそんなこともわかるのですか?」

「前世のことが鑑定に表示されたのは初めてです。普通は表示されません。それだけ前世の影響が大きいのでしょう」

「前世が女王で今世が侯爵令嬢。歴史書によれば、あの高飛車な態度、内政問題が反乱の原因でしょ。死んでも治らないのね」

 おっと、スザンヌからきつめの言葉が帰って来た。

「そういうものではないわ。反乱に関して残されているのは生きていた者の都合の良い事だけよ。彼女から話を聞いた限りでは別の理由もあったようよ」

「そうですか」

「いずれにしても彼女はシドニアの侯爵令嬢ですから、親しくなりすぎる必要はありませんがそれなりには扱ってほしいわ」

「はい」



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