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5.5.4 シドニアにて


 最初の挨拶はディックワルト公爵家。

 その中に一人だけ左目が金眼の子供がいた。トルステンと言う名前だ。

 ラルクバッハの第1王子よりも2つ上。つまりシドニアの学園の2年生の12歳。

 そう、シドニア国内にも金眼の子供が居るのだ。それも王家との血が近い公爵家に。

 わざわざ他国の王室から迎え入れる必要は無い。だが国内を優先せずラルクバッハへ打診が来ている。皆は納得しているが、僕はその理由を聞いていないので不思議に思っていた。


 おそらく、この人には問題があるのだろう。そう思って挨拶を交わした。


 鑑定で確認すると驚くべきことに、メリーナの加護中を持っているではないか。

 トルステンは、転生者だ。


 転生者だからなのか、左目の金眼を使いこなしているようだ。魔力の可視化が有効になっているし、魔力操作のレベルが4まで上がっている。

 おそらく無詠唱魔法が使えるはずだ。


 だが、僕と違い魔法の習得レベルは3とか4。総魔力量は普通の王宮魔導士と比べて少し多いぐらい。

 要するに圧倒的なチートではないが、この年で大人よりも上の実力を持っている。さすが公爵家に生まれた転生者だ。


 軽く話をした感じでは応答は普通。特に問題行動も無かったように思えた。

 挨拶が終わり、次へ向かう途中にスザンヌが話す。

「あのトルステンという方は小さい頃からおっぱいの大きい女性を異常に好む変態なのよ。だから私たちへの婚約も断ったわ。ルシアナ様もよ」

「なるほど」

 僕の場合は生まれた頃から記憶があったので、前世の年齢ではなくこちらの体の年齢に精神がかなり支配されている。今も知識はあるが性欲は10歳児のまま。

 10歳前後で大人の意識が目覚め、その時に肉体の影響よりも前世の影響が出たのだろうか。

「それで、トルステン様に気になるスキルとかありましたか。わたくしの鑑定はレベルが低くてまだわからないの」

「ええ、隷属のスキルと言うのを持ってましたね」

「え? 隷属?」


 話している時間は短く、前が移動したので次の公爵への挨拶になった。

 シドニアはラルクバッハ同様に3公爵家が実働している。次はブリューネワルト公爵家。ここはエミリア様のお母さまの実家になる。

 そして最後がシェーンワルト公爵家。ここは今の陛下の実家になるそうだ。

 公爵家への挨拶が終わると、参加していた大臣を紹介され席に着いた。


 そして食事会が始まる。

 食事の途中で舞台が開かれて民謡踊り、歌が披露された。

 食事が終わるとダンスの時間になった。

 僕は最初にマリアテレーズと踊った。その時にマリアテレーズにトルステンのことを伝える。

「え、あの方が転生者」

「ええ。僕らほどではありませんが、かなり強いメリーナ様からの加護を得ているようですよ。僕ら以外では男爵家とかばかりだったのに、公爵家に転生できるぐらいですからね」

「わたくしからは声をかけない方が良いのですね」

「そうです。隷属のスキルまで持ってますから、気を付けてください」

「わかりました」

 マリアテレーズは踊り終わるとそのまま部屋へ戻った。

 シドニアの王女の4人は、リアン15歳、クラリス12歳、イリアーナ10歳、コラン8歳だった。マリアテレーズと同じく幼いコラン様も同様に最初のダンスが終わるとこの場から出るらしく、二人並んでカーテシーを行ってから退出して行った。


 その後、僕はスザンヌと踊ってからシドニアの第2王女と第3王女と踊った。


 シドニアにはエミリア様のような美人が沢山いるのかと思ったけれど、エミリアの様の実家であるブリューネワルト公爵家には現在、ちょうど良い年周りの令嬢が存在しないらしい。とても残念だ。

 ブリューネワルト公爵家からは次代の嫡男として若い男性が一人来ている。その嫡男はすでに結婚している。

 見比べると、ラルクバッハの第1王子や第3王子に似ていた。

 つまり、ルカディリック王子は母親似と言うことのようだ。


 シェーンワルト公爵家の子供達も結婚しており、その子女はすべて幼い。


 どうやら僕らと丁度良い年周りの子供は、金眼のトルステンだけで、そこから世代が空いて、マリアテレーズに近い年、もしくはそれよりも小さい子ばかりのようだ。



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