1.12.2 両金眼の子
国の文官のトップは私のよく知るメリルディーナ公だ。
彼に頼めば公に広まる前に手を打ってくれるのは間違い無いだろう。
ここは昔の上司に目一杯甘えるしかない。
しかし親戚やこの地を管理する公爵にも金眼のことを伝える必要がある。
だがそこは、あえていうなら全てを正確に伝える必要は無い。
わざわざ両眼が金眼と言う必要は無いのだ。
そもそもこんな辺鄙な中侯爵家の子供などあまり気にしない。
そこで、おじい様の実家には右目が金眼と。
おばあさまの実家には、左目が金眼であったことを伝える手紙を書いた。
そうあえて反対の目の色を書く必要は無いのだ。
私の実家はアメリの件で絶縁状態。報告の義務も無い。
だが、引退し別荘に移り住んだ両親には子供が無事に生まれたことだけを伝えた。
それから爵位を継いでいない外に出た姉夫婦に、アナベルが亡くなり領地経営を1人で切り盛りすることが大変で助けてほしいと書簡を書いた。
1年前に夫がなくなり、少しでも優秀な人材を確保しなければ領地経営がままならない状態なのだ。
それからしばらくすると、派閥の大本になる公爵家から膨大なお祝い品が届いた。
さすが金眼の子。
いくら領主と言え、雲の上の存在だった公爵家からのお祝いが届き、驚きが隠せなかった。
贈り物の質と量はさすが国のトップである公爵家ならではだった。
とても田舎の領主である中侯爵家が買える物ではなかった。
すべてが高級品ばかり。
おかげで必要な子育てグッズはすべて揃った。
父のカイルの時代にはすべての領主が金眼持ちだった時代もある。
すべての領主跡継ぎに関する情報を調べていない現状では判断が難しいが、もしかしたら金眼の子供は思っていたよりも重要視される案件になっているのかもしれない。
情報が欲しかったが自分が子供を産んだことになっているので表だって動くと不安視される恐れがあり動けない。
しばらくはファール様の部下を経由して情報を集めるしかなさそうだ。