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1.12.1 両金眼の子


「アメリ頑張って、そこでいきむのよ」

「オギャー」

 ついに子供が生まれた。産婆が5体の無事を確認し私とアメリに状況を伝える。だが産婆の顔はなぜか引きつっている。どこかに障害があったのだろうか。

 疑問に思いつつ産婆の言葉を待った。


「見ての通り、男の子です。5体満足、元気な赤ちゃんです」

 とりあえず、ほっと安心した。


「髪は金髪、そして待望の金眼です」

「金眼 そう、良かった。おばあさまに報告しなければ、きっとお喜びになられるわ。アメリよく頑張ったわ。ほんとに、ほんとに良い子ね、ありがとう」

 部屋を出てすぐに報告しようとすると産婆に止められた。

「奥さま、お待ちください。お子をよくご覧ください」


 アメリかわいさで産まれた子はちらりと見ただけ、ずっとアメリをかまっていた私はそう呼び止められ、あらためて生まれた子供をよく見た。

「両眼が金眼なのです。ご覧ください」

 生まれた子は金眼だった。それも両眼。

 予想もしなかった両金眼、だがおばあさまの望む金眼の子供。

 私はすぐさま部屋を出ておばあさまのところへ向かう。


 生まれた子供が金眼であることをレオノーラと私は狂喜した。


 しかし喜ばしい反面、とても危険な状況であると言わざるを得ない。

 産婆が言うことを躊躇ちゅうちょしたとおり、両金眼は大変な事態だ。


 私が王宮で働いていた時に見た資料によれば、過去生まれた両目が金眼の子は幼少期にことごとく殺されている。


 そして記録上この300年で10歳まで育った両目が金眼の子はいない。

 さらに言えばこの100年、両金眼は生まれてすらいない。


 かつてこの国の始祖である建国王が両金眼であったと言われている。

 伝説的な剣士であり魔道士でもある建国王は、当時この地域を治めていたグランスラム帝国を退けこの地にラルクバッハ王国を建国した。

 それ以降、建国王の血を引く金眼の子は資質が高く総じて優秀だった。

 だが建国王以来、両眼が金眼の成人は存在しないのだ。


 この子は3代遡っても王家の血には到達しない。


 したがって王位継承権は本来無い。

 だが両金眼であることがわかれば王家に召し上げられ王位継承の争いに巻き込まれる可能性は高い。


 そしてその結果、毒殺される可能性はぬぐえない。


 今の王も親兄弟全て毒殺され唯一残った子だ。

 ラルクバッハ王家直系の血は危うく途絶えかけたのだ。


 現在の王家は毒殺、暗殺を防ぐ力が十分とは言えない。


 しかし、生まれた子供を登録するとき眼の色と髪の色を申告する。

 嘘を報告しそれが露見すれば反逆罪として処刑の危険性もある。

 故に国には両金眼であることは伝えなければならない。


 さて、どうする。


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