4.12.3 婚約の申し込み
「ジルベールの勝利よ」
かっこよくカトレア様が勝利を宣言した。
皆が、拍手をしてくれた。
「ジルベール、スザンヌへ婚約の申し込みをすることを許可しよう」
陛下が、僕に向かって許可を出した。
僕とスザンヌはさっきのまま少し距離をあけて向かい合っていた。近くに来た従者に摸擬剣を渡す。スザンヌも同じように渡していた。
そして、スザンヌの前に出向き、左の膝をついて右手をスザンヌの方へと向ける。
「スザンヌ様、外の白銀のごとき雪を見ると、貴方の髪を思い出し心が躍ります。
天上におわす女神がごとき美しき姫。
貴方と今日、この時に将来を誓い合える事を心待ちにしていました。
どうか、私の心を受け入れてください」
「ジルベール。貴方の心を受け入れましょう」
セリフは終わったのだけど、彼女の美しい姿を見ていると自然と言葉が漏れてしまった。
「貴方と出会える機会を作ってくださった女神アロノニア様、ラキシス様、メリーナ様に感謝します。
スザンヌ。
わたしはこれからの生涯、あなたを愛しあなたを幸せにする事を誓います。
時が我らを別つその時が来てもその後も、この愛が永遠である事を女神にも誓います。
愛しきスザンヌよ」
「ジルベール。
時が我らを別つその時が来てもその後も。
わたくしも、あなたとの愛を女神に誓いましょう」
二人で見つめあう。
しばらく、30秒ほどだっただろうか。
「良かろう。
これよりジルベールをスザンヌの婚約者の最有力候補とする。
正式に発表するのは1年後だ」
ふうー、一仕事完了だ。
僕はスザンヌをエスコートし、エミリア様に呼ばれた方向へと移動した。
「では次に、第3王子フィリップの婚約者候補の絞り込み結果を報告する」
「1人目、クリシュナ・カルスディーナ公爵令嬢9歳。
2人目、エレノア・メリルディーナ公爵令嬢9歳。
3人目、イザベラ・バディワード侯爵令嬢10歳。
現段階で、この3人に候補を絞り込む事を宣言します。
これより半年後に1人に絞り込み、最終発表は1年後となります」
「最後に、第2王女の婚約者候補の絞り込み結果を報告する」
え、第2王女って、何も聞いてないけど。
「ジルベール・クロスロードを最有力候補とする」
おお、僕だ。もしかして他にもいるのか。
「以上。
正式な発表は、国内においては、ジルベール殿が13歳、王女殿下が10歳になるまで秘匿されます。ジルベール、マリアテレーズ様に婚約の申し込みを許可する」
ホッとした直後に無理なのきたよ。あれ、さっきの定型句をやるの?
「ジルベール、前にやったあれだ、あれをもう一度だ。
陛下の前でやるように」
あ、やっぱりあっちね。さっきのじゃなくて。そうだよねスザンヌ様のやつのわけないか。