表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
312/536

4.11.6 王都での生活

 翌日、午前中はマクシミリアン様と魔法陣の勉強をしていた。

 そして、午後、第1王女の公務にお付き合いすることになった。

 彼女は、10歳になってから、いつも第1王妃が付き添っているそうだ。

 だが、第1王妃から朝になって体調が悪いと連絡があった。第1王女が公爵家に来ていた事もあり、王妃の代わりにカトレア様が付き添いをひきうけたらしい。

 そして、なぜか僕も一緒に付き添うことになったのだ。

 婚約者はマリアテレーズ様なのに、あんまり会ってない。なぜ僕はこんな事をしているのか疑問に思いつつも従ってしまうのはなぜだろう。付き合ってもいないのに尻に敷かれている気がする。


 お出かけは公爵家の馬車ではなく、王家の馬車になった。それに揺られて王都の大聖堂ではなく平民街にある教会へと向かった。

 僕らが到着すると第1王女は慣れたもので子供達に連れられて絵本を読みに行った。カトレア様も子供が大好きなので一緒に行ってしまった。

 僕は初めてなので神父様に中を案内してもらった。


「ここが怪我をした方を一時的に預かる部屋です。ちょうど今朝、運び込まれた方が居ます。ただ、手当てできるような怪我では無く、息を引き取るまで寝かせる程度しかできないのです」

 そういって通り過ぎようとした。

「中には入れないのですか」

「今説明した通り、もうじき亡くなる方です。貴族様の目に触れさせるような状況ではありません。とてもその」

「血で汚れていると?」

「ええ、そうです、平民の血ですから」

「僕は回復魔法が使えます。誰でも治療をするわけではありませんが、偶然と言う時の女神からの示唆かもしれませんよ」

「回復魔法ですが、ですがかつての偉大な聖女様でも無理なほどの怪我ですよ。本当に」

「気にしないので開けてください」

「では」

 ようやく扉が開き中へと入る。

 中は言われた通りムッとした嫌なにおいだ。血だけではなくとても臭い。


 ベッドに寝ていたのは二人。一人は2、3歳の子供。もう一人は30代ぐらいの女性だろうか。二人とも確かにひどい状態だ。ぐったりと一言も発せず息も絶え絶え。

「馬車にでも轢かれたのか、ひどい暴行を受けたのか、まあその両方でしょうね。

5体は付いていますがボロボロです」

 診断のスキルを使って二人を見てみる。子供は擦り傷は多数。それに内臓を痛めている。さらに手足も骨折。女性は背中に大きな切り傷がある。両手も両足が折れているし全身打撲で酷い状態だ。神父の言う通り、もうあと僅かしか持たないだろう。

 鑑定で確認。

 あれ、この子。

 そう言えば10歳の儀で王都に入る直前に、誘拐された子供が居たが、身代金を渡したのに解放された子供が見つからないと言っていたような。もしかしてこの子がその子か?


 以前、異世界から取り寄せていた注射針を取り出した。こちらで再現しようと思って取り寄せていたのだ。残念ながらクロスロードの鍛冶屋では再現が出来なかったのだ。

 その注射針を自分で成形したガラスの注射器に取り付ける。体力回復の水薬をストレージから取り出して注射器で子供に注入する。

「神父様は、そちらの女性にもこの薬を飲ませてください」

 取り出した体力回復薬を渡す。

「これは?」

「体力回復薬です。僕の魔力を足してあります。

この後で回復魔法を使いますが、体力がなければ回復できません。この治療器具は一つしかないのです。そちらの女性に頑張って飲ませて」

「解った、なんとか飲ませよう」

 神父様が頑張っている間に、子供の方に、体力回復薬を注射器でゆっくりと入れていく。そして同時に回復魔法で内臓を修復させる。次に骨折を直し全身のダメージを取り除く。10分ほどの時間をかけて治療が終わった。すぐに女性の方も治療を行う。まずは内臓系の治療を行う。そして腕が曲がったままだったので痛いだろうが強引に戻す。それから全身の骨を繋いでいく。女性の方も10分ほどで治療が終わった。だが二人とも元の怪我がひどすぎたし衰弱しすぎている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星★ よろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ