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4.9.4 子供達の夜


「コハク、後宮で君を預かってくれることの許可が出たそうだ。

10日後から後宮務めだ。第2王女に魔法を教える代わりに、人の世界について教えてくれることになっている」


「私は、アロノニア様からジルベール様の役に立つようにと言われています。ジルベール様が婚約される第2王女様に魔法を教えることは解るのですが、私自身の勉強に時間を割いてお役に立てるのでしょうか」


「イシスによると、一度契約した召喚の契約は解除できないらしい。僕が死ぬまでは。

つまり、コテツが回復しても彼は僕の周りからは離れられない。

そうするとコハクも人間の近くで生活することになる。

封印される前、人との関わりが嫌な思い出になっていると思うけど、人との関わりは避けられないんだ。コテツもね。

2人とも、人との関わりが避けられないならできれば人との関わりを楽しめるようになってほしいんだ。

まあ、人の中に居ても君には笑って生活してほしい。

それが僕の望み。納得はできないだろうけど、君が人の生活に慣れて、生活を楽しめるようになることが僕の為になるということさ」

「よくわかりません。ですが、勉強をして、人とかかわる事でジルベール様がお喜びになられるなら問題ありません」

「そういうこと。じゃあ不安に思うことがあったら言ってね」

「はい。大丈夫です。当面はマリアテレーズ様にお仕えします」

「では、10日後に後宮に行くことになるから、それまでは僕の近くで。と言っても僕と一緒にいると、カトレア様のおもちゃにされるけど、もっと早く移動した方がよくないか」

「いえ、カトレア様なら大丈夫です。あの方は精霊の力を持つわたくしにとっても特別です。ですから、おそばにいれる間はジルベール様の近くに居ます」


 そのあとで、第3王女や第4王女に絵本を読み聞かせして、みんなで魔力操作の訓練を始める事になった。

「第3王女と、第4王女には僕が魔力操作を外からやるので、他の人達はまずは自分でやってみて。ダメな人は外から補助するから。

さあ、第4王女からにしましょう。寝てしまいそうだし」

「ミーだよ」

「そうでした。ミー、おいで。

両手を出してくれるかな。

じゃあ、僕が魔力を流すから、体の中でうごめく何かを感じて欲しい。

それを感じたら、あらがわず。そのまま受け入れて」

「あらがう?」

「あー、そうだね。抵抗しない、ダメダメってせずに、受け入れる。体の中がもぞもぞってしても、そのまま我慢ね」

「うん、解ったジルにい」


 シュミット様に魔力を操作して全体に薄く広げる。ほぼ均一になったところで止める。

「ミー、どう。魔力が解る?」

「うーん、よくわかんない。でももぞもぞする、我慢してるよミーは」

「そう、ミー偉かったね。

ニナも最初はそうだったから。何回かやると解るようになるよ。じゃあ次はマイちゃんに変ろうか」

「あー。マイ姉ちゃんはマイちゃんなんだ。

わたしも同じが良い」

「え、ミーちゃん?」

「うん、良いよ」

 ニナシスティが3歳の時より確実に甘えん坊ではないだろうか。いつも母親が一緒ではないからだろか。だけど乳母とか誰かが必ずいるはずなのに。やっぱり母親とべったり過ごすのにはかなわないのかな。

「ではマイちゃんも両手を出して」

 同じように魔力を均一に伸ばしていく。

「うん、もぞってする」

「そうそう。よく我慢したね。じゃあマイちゃんも今日はこれで終わり。また明日ね」

「ジルにい、ありがとう」


「ジルにいさま、ありがとうございます。おやすみなさい」

2人が挨拶して、部屋の出口で淑女の礼をした後、侍女に抱っこされて部屋から出て行った。

 その後も大半の人が魔力を動かせなかったので、また再び全員を魔力を均一に広げる。

「人が足りない。明日からはバーニィとレティーシアも呼べないのかな」

 そう呟いたら、部屋付きの執事が答えてくれた。この場に大人がいないので、さっきから王子や王女のつぶやきに答えてるのでその延長だろう。

「バーニィ様は王宮魔導士ですから呼ぶことは可能です。ですが、明日からは若手の社交が始まります。王都に戻ってきたばかりで王宮付きの副団長になられたバーニィ様は社交をサボるわけにはいかないでしょう。当然ですが若奥様として出席するレティーシア様も。

ただ、ジルベール様が王都を出られ自領に戻られた後ならば、時期的にはバーニィに頼むこともできるでしょう」

「さすが王宮の執事さん。的確な答えをありがとう」

「いえ、どういたしまして」


 その後、僕らは馬車が混む前にメリルディーナ公爵家に戻った。

 急ぎでもなかったので、王宮から転移で公爵家に戻るような非常識な事はしていない。


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