4.6.4 お披露目会
同期組と話をした後、第1王女に連れられて王家の人達のエリアに戻った。
「改めて紹介するわ、第1王妃のエミリア様よ。シドニアの元王女なのよ」
どや顔で説明してくれる第1王女。第1王女は最初の頃と違い、僕に話しかけてくる言葉がなんだか明るくなった。最初にツンデレだったのは、どうやら人見知りの性格のせいのようだ。
「挨拶は先ほどしましたが、ジルベールです。
エミリア様の美貌は、本日お会いした中で、一番の印象に残りました。
同じ年の同級生がいる母親と思えません。
フィリップ様とはまだほとんどお話できていませんが、これからの長い付き合いになると思います。
よろしくお願いします」
「そうね、本当に長い付き合いになりそうね。
たしか、エレノアはあなたの妹なのよね。
王家や公爵家とこれほどの関係を持つようになると思うとメリルディーナ家の影響が気になるわね」
「エレノアですか」
「自分の事ばかりで、気が付いていないの。
あの子、ずっとエレノアのエスコートを続けているわよ。
エレノアは、最初のエスコートだけと言ったのに。
途中からイザベラ、クリシュナと回りなさいと言ってあったのに」
本当だ。フィリップ王子はまだエレノアの隣にピッタリと付いていた。
「エレノアが公爵家養女に入ったばかりだから、貴族への紹介を含めてフィリップにエスコートをさせたのに。
あの子もしかして本気なのかしら。
まったく。
あのまま続けるとエレノア嬢に嫉妬が向かうから逆効果なのに。
そろそろイザベラ嬢やクリシュナ嬢の所に行かせないと」
「ああ、カルスディーナ公爵の娘のクリシュナ様ですね。
先ほど挨拶はしました。
スザンヌ様に少し似ている子ですよね」
「そうよ。
だめね、そろそろ交代させないと。
それはそれで、あなたのエスコートは離れすぎよ。
あなたがスザンヌを守ってくれないと困るわ。
マリアテレーズの姉なのだもの、守ってくれるのでしょ。
もう少しちゃんと手を取って、横やりが入らないようにくっついて案内なさい。
そう、そのままで。
じゃあ、そのままもう少し回りなさい」
「はい、おかあさま」
そういって、エミリア様はフィリップ様の所へと向かて行った。
「第1王妃様の事もおかあさまと呼ぶんですね」
「ええ、私たちは兄弟同士も母親同士も仲が良いのよ。
特に私は第1王妃様にも可愛がられて育ったから。
さあ、マクシミリアンとアナスタシア様の所に行きましょう。
私の同級生も沢山いるから紹介してあげるわ」




