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3.16.3 バーニィのお相手

 レティーシアが来た当時の総魔力量は子爵家Cの枠を超えていないかった。王宮魔導士と堂々と結婚できる魔力量と言い張るにはできればAランクに入る必要がある。

 そして日々の頑張りによってレティーシアはついに総魔力が850まで上昇した。

 魔法の才能が無くても、初期に外から魔力操作で強制的に魔力を動かし魔力で満たした状態にする。それを繰り返すことで急速に魔力操作のレベルが上がる。常時魔力を体に広げられるようになってから魔力をきちんと消費すれば総魔力量を増やすことは可能だ。


「レティーシア、鑑定で確認したけど最終的に総魔力量は850。

つまりAランクだ。頑張ったね」

「ありがとうございます。これでようやくアタックできます」


「うーん、それはちょっと待ってほしいな。

バーニィはヘタレだけど、女性から告白されて喜ぶタイプじゃないんだ。

ヘタレの割にそこだけは自己主張が強いから。

僕から話をふるからバーニィからアタックさせるよ」


「はい。わたくしも告白される方が良いです」


 そして夕食時。

「バーニィ、彼女は出来たの?」

「ジルベール様、ダメでした。最後の足掻きで色々と声をかけたのですが全滅です」

「そう。レティーシアはどうだった」

「いえ、レティーシアは、ジルベール様の専属ですから」

「専属だとだめなの?」

「専属侍女は、主の嫁や妾の候補者ではないですか。

ジルベール様の専属に手を出すほど愚かではありません。

いくらなんでも分別は持ってますよ」

「ふーん、そうだったのか。

それで、僕が許可を出せば声をかけるのかい」

「え、良いのですか?」

「なぜ駄目だと?」

「いや、ジルベール様もレティーシアの事を気に入ってますよね」

「嫌いではないよ。

でも、10歳の専属が嫁とか妾は無いだろうに。

主として許可する。

口説き落としなさい」

「え、本当に良いのですか」

「くどいな、だんだん面倒になってきたな。許可を取り消そうか?」

「待ってください。

チャンスを、一度だけのチャンスを」

「わかったから、行っておいで。

これは餞別だ」

 マイストレージに入れてあったレティーシアが好きな花束を渡した。

「これは、夏の花。

ジルベール様がご用意してくださったのですか」

「いままでのバーニィの行動を見るに、不足しているのは女性への気遣いだ」

「はあ」

「この花は、レティーシアが好きな花だ。

僕の部屋にもよく飾っていた」

「そういえば、ジルベール様部屋でよく見ました」

「こういう風に、相手の事を理解して口説くときにちゃんと用意するのが成功率を高めることになるはずだ」

「なるほど」

「まあ、これはトシアキからも聞いたから確実だ」

「それは間違いないですね」

トシアキって信頼性高いな。バーニィの中でどうい位置づけなんだろう。

「最後に、レティーシアが好きなお菓子が何か知っているか?」

「夜のお茶会に呼ばれた時にはレモン系のお菓子を食べていました」

「他には?」

「侍女服を着ているので好みの服の色はわかりませんが、良く緑のハンカチを持ってました。たまにつけるリボンは黄色が多かったかと」

「なんだ、ちゃんと見てたんだね」


「えっと」

「じゃあ、口説く言葉をチェックしよう」

・・・ピー・・・

 バーニィが18禁の言葉で口説き文句を言ったので文面が削除された。


「馬鹿か。子供が欲しいとか直接言うのはまずいでしょ。どう考えても」

「まずいですか。やっぱり」

「そこは、君の瞳が好きだとか、たまに聞こえる歌声が綺麗だとかそういう誉め言葉が嬉しいんじゃないかと思うよ」

「なるほど」

「うん、やっぱり告白は明日に延期しよう。

失敗してダメになったらまずい。後がないからね」

「はあ、わかりました」


 残念ながら、下ネタ全開の告白文書を全面的に見直してもらうことにして、告白は延期となった。


参考:総魔力量


 0~50   F

 50~100  E

100~200  D  下級貴族

200~400  C  中級貴族 新たに平民が貴族になれる数値

400~600  B  上級貴族

600~1000 A   魔導師を目指すレベル 

1000~2000 S  王宮魔導師

2000~3000 SS  聖女や歴代の大神官達

3000以上  SSS 建国の王様や賢者と言われた人の魔力量が5000前後



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