3.12.3 10歳の秋
鍵の魔法は特定の人物しか開けることができなくなるが密封度が高くなる。その効果によって鍵をかけた状態での空間維持の魔力消費量を減らすのだ。
「ねえ、オメガさん。
空間魔法のように、使える人がいないと作れない魔法陣と、その魔法が使えなくても使える魔法陣の二種類があるような気がするのです。
どう違うの?」
「良い質問ですね。
ずばり、魔法発動から行う魔法陣と、魔法を発動後、その魔法を維持する魔法陣の2種類があるのです。
最初の方は属性魔法が多いですね。
状態の維持は特殊魔法が多い。
もし、ジルベール様が空間魔法の与え方をすべて書き出すことができればジルベール様でなくても魔法陣を起動させることができます。
ですが、発動タイプの魔法陣で作られた魔法は、長時間維持するには向いていません」
「なるほど、発動は僕がやって、後は維持をする魔法陣か」
「今の魔法陣は、正直なにが書いてあるのかわからないので、伝えられている通りならばそのはずということです」
「読めない文字の組み合わせや、動く魔法陣でも一部を入れ替える一部しか動かない。
暗号が入ってるだけかと思っていたけど、特殊な文法なのかな」
…
「あれ?」
「どうかしましたか?」
「まてよ。これはhtml?」
「html?」
「文書の規格だよ、もしかしたら似ているのかもしれない。
これ、最初に書いてある文字って使う文字の種類。
言語の種類を示していて、後ろに書いた文字はここで指定された文字種や言語以外は使えない。
と、するとこの魔法陣は、これとこれは他言語で、これも含まれない文字種だから削除していく。
そしてこれは暗号のキーだとすると、文字の番号で二つ戻すか足すのか。
これで変換すると、もしかして文書として読めるのか」
…
「お、ここはなんとか読める。
これ。
いや、ちょっと待てよ、ファイアーボールの魔力変換は、この手番で良いはず。
これを前部で指示をして、余計な文字種を入れない。
そして最後に魔力を込めると。
あ、発動型だから魔力を入れれば魔法が発動する。
火はほとんどの人が適性があるから、ランプの魔法を書いてみよう」
…
「できた。
余計な文字を入れなければ魔法陣って超簡単じゃないか。
オメガさんも試してみて」
「うーん、私は光属性が無いので発動しませんね。
発動型の魔法陣から魔法を使う場合は本人も属性がなければ発動しませんが、効率は落ちますが魔石を通せば使えない属性も魔法が発動します。
魔道具とはその特性を利用しているので必ず魔石を使うように作られているのですよ」
「なるほど、魔石から魔力を通すように変更して、魔石を置く。
では発動の呪文を」
「点灯。
大丈夫ですね。
消灯。
うん、動く。
こんな簡単な祝詞を書くだけでライトが再現できるのですか。
今までの魔法陣は大半の意味不明部分は消すと動かなかったのでおまじない的な何かと思っていましたが、そこが暗号化された本文で、読めていたところは真実を隠すダミーだったり解読されないようにするための文字だったのですか」




