1.6.1 神話と建国
アメリに絵本や神話、それに少しだけ難しい本を読んでもらった。
アメリがいない時は書庫に勝手に行ってアメリが読んだ本を取って文字の勉強をする。
アメリや侍女から本は貴重なのだと説明があったが、この家は侯爵家だからなのか本が多い。
一部屋丸ごと書庫になり、本棚にいっぱいの本が並んでいる。
読み放題と言っても良いぐらいの本がある。
暇つぶしができて助かる。
本から得たこの国に伝わる神話によると、創始の頃は神様が全部で5人いたようだ。
だが現在信仰されている神様はメリーナ様を含め3神。
3神はメリーナ様のほかアロノニア様、ラキシス様。
国が違うと主神として崇める神様が変わるらしい。
この国ではメリーナ様が主神として崇められているが隣のシドニアでは女神ラキシス様が主神だ。
さらに海や山では女神アロノニア様が崇められているようだ。
この国では政教分離はされていない。
3女神教を国教としている。
なぜメリーナ様を主神として崇めているかは、この国の建国の王が崇めていたかららしい。
神話を読むと、精霊や幻獣といった独特のものが登場する。
そして魔法も。
さすが異世界だ。
この国は500年前に洪水にあって全てが水に浸かったらしい。
それはアロノニア様が大切にしていた幻獣の一人を封印してしまったために起きた天罰だ。
それは、この国では邪神と言われるが他国では崇拝対象となる神にだまされ、当時の王様が起こした事件だった。
この時に女神ラキシスが信仰心の高い人々を導き、メリーナ様が作った箱舟に乗せた僅かな人々がこの災難を乗り越えることができたのだそうだ。
だが、この地の贖罪はそれで終わらなかった。
洪水が引いてようやく畑が作れるようになり人口が増えだした100年後。
そのだました神を信仰する国、グランスラム帝国が攻めてきた。
武器を持たないこの地の人々はあっと言う間に制圧され、奴隷として生きることになった。
それからさらに100年。
このラルクバッハ王国を建国した勇者が現れた。