3.8.2 竜との生活
実は、ティアマトとの戦いが終わった後に回収した素材がある。
ティアマトの鱗だ。
「ティアマトのはがれた鱗で鎧を作りたいのだけど良いかな」
「よいぞ。
そなたらが得た戦利品なのだから」
「良かったね、エイミー。
これでエイミーの鎧を作ろう」
「エイミー殿の鎧か。そうか、ならばその鱗をここに並べてくれ」
「え、なんで?」
「祝福を贈ろう、勝手に抜けた鱗よりも竜からの祝福を得た鱗は数倍強度が上がる。
我の鱗だ、我からの祝福が最も効果が上がる。
その代わり、そなたらの持つ赤竜の剣を2本とも我に貰えぬか。
里に戻った時に証拠となるし、里で保管もしたい」
「いいですよ。ではこれを」
僕がマイストレージから取り出し、エイミーは腰から外してティアマトに渡した。
そのあとで鱗に祝福を与えてくれた。
キラキラとした魔力が鱗に降りかかると、白い鱗が艶々になった。
「では、エイミーは、代わりにこれを使うが良い。
我がつくりし剣だ。
ホーリードラゴンの光の加護を持つミスリル製の剣だ」
「え、こんなすごいのをもらってもいいの?」
「構わぬ。母様が作った剣の真似をして作ったのだが、我に使う用途が無い。
それと、これはジルベールにやろう」
きれいな黄金色の短剣だ。
見るからに怪しい。
「これは?」
「古竜が亡くなった時にとれるコアを短剣に加工したものだ。
魔力を注げばその者の特長を上昇させる剣になる。
成長に合わせて魔力を注ぐが良い。
お主の持つ神石もこれにつけるが良い」
「これに?」
「合成してやろう、石を」
いわれるままに神石を渡す。
ティアマトが無詠唱の錬金術をやってみせた。
魔力の可視化と魔力検知で魔力の流れ方を覚えた。
武器の加工はこうやるのか。
黄金色の短剣の鍔の部分。柄と剣の中央部に神石が埋め込まれた。
「魔力を流すが良い」
言われて魔力を流すが、最初はあまり変化がない。
だが、ある量を超えてから徐々に剣の部分が伸び始めた。
今の僕にちょうど良い長さになったところで魔力を止める。
完全に止めると、短剣に戻った。
魔力を少しだけ流すとさっきの長さへと戻った。
「ふむ、良さそうだな。
それを使うが良い。一生使えるはずだ」
「ありがとう、ティアマト。
こんな貴重な物を」
「我が持っていても役に立つことはない。
現に、200年全く使っておらず無駄に収納空間を使っていただけだからな」
こうして、僕は古竜の剣を。エイミーはホーリードラゴンの剣と鎧を手に入れた。
エイミーの鎧は、僕が錬金魔法で作り上げた。
ティアマトは錬金魔法も得意で、魔力の流し方を教えてくれた。
伊達に300年も生きていない。
ティアマトは魔力に、剣技と僕らが全く勝てないほどの実力者だった。