3.7.2 竜の襲撃が終わり
あれ、リリアーナ母様もアメリ姉様も震えてる。
それだけでなく、レイブリングもエイミーも汗びっしょり。
なんでだろ?
「ところで、竜王バハムートとか、聖獣イシスってなに?」
『我が説明しようぞ。“イシスよ、妖精体にて召喚に応じよ”と言えば良い。それならば小さき体で外に出られる』
「あ、イシスから説明してくれるらしいから呼び出すね。イシスよ、妖精体にて召喚に応じよ」
僕が呪文を唱えたら周りの人が急に僕から離れた。レイブリングさんはリリアーナかあさまとアメリを抱き上げて後ろに下がった。
え、大丈夫なのに。
それにしても、女性二人を軽く持ち上げるって、力持ちだな。
僕の周りに水の波が発生し、30cmぐらいの青い色の服を着た妖精が現れた。
角が2本生えた3頭身の人形のような姿。髪が緑で金眼。
その状態でフワフワと浮いている。
「イシス様、どうして僕がイシス様を召喚できたのですか?」
「それはな」
「うん」
「秘密じゃ」
「え、説明するって言うから呼び出したのに」
「召喚できた理由は今の段階では説明できぬ。
それはそなたがもう少し大きくなってからだ」
「ふーん」
「今は、バハムートのことと、我ら聖獣のことだけを教えよう。よいな」
「はい。お願いします」
「うむ。まずこの世界にはアロノニア様、ラキシス様、メリーナ様という3人の女神がいることは知っておるか?」
「ええ、もちろん。メリーナ様には何度も会っています。
他の神々は神話を読んでだけですけど」
「我ら聖獣と竜王バハムートは女神アロノニア様が直接お作りになった神の子だ。アロノニア様から漏れた神の気から自然発生する妖精や精霊、妖獣、精獣、そして幻獣と言われるものたちとは全く異なる存在だ。
私を含めた4人の聖獣はその身に神に近い力を宿す半神半精の生き物だ。
対して竜王バハムートは完全に受肉しておる。
不死の生命体じゃ。
現世でしか生きられぬが現世では最強の力を持つ竜。
その名の通り竜王」
「へー、じゃあ竜王バハムートって強いんだ」
「強い。現世においては神に勝る力を持つ。
我ら4体の聖獣が同時に戦ってようやく互角であろう。
ゆえにそなたは絶対に戦ってはならんぞ。
そしてバハムートは肉体を持つゆえに子もできる。
そこの娘はバハムートの子じゃ」
「え、僕はイシスの力で、竜王の娘をやっつけたってこと。
ごめんなさい。喧嘩するつもりではなかったのです。
竜王様にはよろしくお伝えください」
「いや、謝るのはこちらゆえに問題ない」




