3.6.1 竜の襲撃再び
アメリ姉様とレイブリングさんの婚約が無事に結ばれ、アメリ姉様の治療も進みほぼ完治した状況だった。
退治した竜の素材は王家が回収し特に討伐に参加した領地に優先的に配布してくれた。
この家には竜の爪と鱗を加工した大剣が1本と、一般的な大きさの鋼の剣が2本。
先端に竜の牙を加工した槍が5本。
竜の鱗を加工した朱色の鎧が一つ。
竜の鱗を使った盾が一つ。
竜の骨から削り出した杖が5本。
他にもこまごまとした武器が補充された。
今回は最高級の素材で加工も含めて国宝級の品だ。大剣はレイブリングさんが、剣は柄の部分に竜の爪が使われているらしいが、その効果はよくわからない。ただおしゃれなだけだろうか。それは僕とエイミーが使うことになった。
竜の鱗を使った剣は光魔法との相性が良いらしいので、レイブリングさんの大剣はとても希少だろう。僕の剣は、柄が竜の爪なので、確かに魔力は流しやすいが光魔法の効果は変わらなかった。恐らく魔力を流した魔力剣として効率を上げた仕上げになっているようだ。
もちろん盾も、鎧もレイブリングさんが使う。
レイブリングさんは前よりも元気になって、クロスロードの貴族兵の騎士たちと平民を集めた兵士たちで構成された部隊を鍛え上げている。
杖は、バーニィとクインさん、それに僕も貰った。
僕は、エイミーとトシアキの二人から指導を受け、身体強化がスムーズにできるようになった。
さらに、空間魔法のレベルアップと共に時間魔法が派生した。
それによってわずかな時間だが時を停止できるようになった。
実際に瞬転と時間停止を組み合わせ、身体強化で強化した状態で光の剣をふるえば、負けることはあり得ない。
おそらく、魔法防御が最大で光魔法の付いた剣を弾くか、相手側も時間停止の能力をもっていない限り、相手はなす術がないだろう。
防御不可能なのだから。
ただ、この時間魔法、過去の賢者の記述にはなかった。
空間魔法のレベルを上げれば使えるようになるなら、彼も使えたはずだ。
もしかしたら、時間魔法を使うには他にも条件があるのかもしれない。
第2巻になんと書いてあるか気になる。
ちなみに、組み手の練習では時間魔法と瞬転の使用を禁止された。だが、いざという時に発動できるように訓練はしている。
こんな感じで時間がすぎた。
平和な日々だった。
だが、世の中なかなか平穏にはいかないらしい。
秋も終わり、本格的な冬が到来するころのことだ。
ラルクバッハに突如として10m級の竜が出現する事件が起きた。