3.5.5 アメリの婚約
「さて、先日の戦いでバーニィの有用さが報告に上がったそうです。
貴方に、王都に戻る準備をするように通達が来ました。
来年の夏を過ぎたら帰郷です」
「え、ホントですか。
ここで雇い直してくれるってことは?」
「不可能です」
「やっぱし」
「無詠唱で魔法が使えて、複合魔法も使える。
教え子のジルベールが無詠唱で複合魔法によって闇属性の武器を破壊。
貴方が行かなければジルベールが取られます。
ジルベールを守る約束をしていますよね。
人身御供になりなさい」
「はい」
「大丈夫です。
どうせ貴方があまりにも教えるのが下手だと、結局部下毎こちらに送り返されるでしょう」
「ぶふぉ」
笑える。
「否定できない未来だ」
「クインを呼び出す可能性も考えましたが、クインは王宮魔導師ではありません。
送り返される公算が強いと思っていますが、1年から2年は王都でしょう。
そのつもりで動きなさい」
「リリアーナ様。バーニィは鈍いから、動きなさいの意図を理解していないと思いますよ。理解していたら、その、もう結婚してますよ」
「バーニィ、クロスロードで結婚相手を見つけなさいということよ」
「え、でも全員からふられましたよ」
「あなたが、婚姻できる女性を選ばないからふられるのです。
魔力のつり合いを考えて声をかけなさい。
貴方は、Aランク以上の魔力を持つ女性でなければ婚姻できないでしょう。
魔力Bなら、ジルベールに頼んででもAまで育てる必要があったでしょう。
学園で婚姻条件ぐらい最初に習うでしょう。
あなたが釣り合いも考えずに、顔と体だけ見て声をかけるからふられるのです」
クロスロードは爵位の低い人が多い。
総じて総魔力量も低めだ。
魔力は伯爵家並みだけど爵位が子爵なんて人がほとんどいない。
「領内の対象者はリストにして配ります。
見合いをして、相手を決めなさい」
「はい」
「バーニィ、ちなみに領主館で働いている人だとレティーシア・カリエール子爵令嬢だけだからね」
「え、そうなんですか」
「レティーシアを、わざわざ僕の専属にしてバーニィと接触する機会を増やしてたんだけど、気づかなかった?」
「まったく。逆にジルベール様の専属ですから声をかけてはいけないかと」
「まあ、成人近くの専属侍女ならわかるけど、僕の年でそれは無いでしょう。
周りの独身者のための配属だったんだよ」
「ご配慮、ありがとうございます」
「言っとくけど、努力しないとゲットできないよ。
クロスロードでは、女性側が承認しない結婚は許さないよ。
政略結婚でも、相手の意志あってだからね」
「ジルベール様は、王女様と婚姻されると聞いてますが、完全に政略でしょ。
会ったこともないし、恋愛もなにも無い。
それで良いのですか」
「王女が不細工なわけないだろ。カトレア様の孫だよ?
だけど相手側の意志は尊重するつもりだよ」
「そうですか、相変わらず坊ちゃんは物分り良いですね」
うん? そうか?
世の男性がうらやむ王女だぞ。
なにかダメな要素があるのか?




