3.3.6 後始末
「アメリさんってジルちゃんのお姉さんだよね」
「ええ、そうですけど」
「レイブリングは、僕の親戚でさ。
将軍になってもあんまり浮いた話もなくて心配してたんだけど。
なーんか、急に春が来たみたいで、デレデレしてさ。
それはそれでなんかむかつくんだよね」
「へー、春ですか。
エイミーが相手の女性に嫉妬してるってこと?」
「いや、アメリ様に嫉妬はしないけどさ。
僕より先に結婚しそうなのがむかつくだけだから」
「え、なんでアメリ姉様?
って、それほんと」
「え、あの雰囲気で解らないの?」
「いや、なんでいるのかなーとは思ったけどさ、いつの間に仲良くなったんでしょうね」
「ヤンロードに着いて、すぐに作戦会議してたでしょ。
それからずっと一緒なんだよ」
「まあ、アメリ姉様はクロスロードの領主代行として来てますからね。
作戦を指揮する将軍の近くにいるのは当たり前では。
現場に実指令を出す伯爵も一人来てたし」
「年が離れてるし、アメリ様と僕って、一つしか違わないんだよ。
僕のことをさんざん子供だ、ガキだって言っておいて、あの態度だよ。
やっぱり、かわいらしさが無いとだめなのか?」
あの態度というのが、そもそもわからない。
アメリ姉様は領主代行で来ているとはいえ、戦闘が終われば普通の令嬢なのだから、別におかしくないと思うけど。
「そうかな、エイミーも十分令嬢に見えるけど」
「え、ほんと。そうかな。
やっぱりわかる人にはわかるよね」
いや、そこまで褒めてないと思うけど。
「まあ、これからは主のジルちゃんさえ僕の魅力を解ってくれれば良いか。
よろしくね」
「はは、まあ面白そうな主従関係を築けそうだね」
「うん、相性ばっちりの関係になれるよ。きっと」
盛大な誤解があるような気がするが、気にしないでおこう。
なんと言っても15以上年が違うのだから。
翌日から、移動が開始。
怪我人は、馬車にのり、それ以外は徒歩。
元気な人たちが先行して、前半部隊はさっさとヤンロードの領都に、僕らは少し遅れてついていった。
ようやく、ヤンロードの領都に着いた後で、王都に送る騎士や魔導師を転移門で送った。
その後で、クリュシュナーダ伯の所へ報告に行った。
ここは、ヤンロードの領主が貸してくれた屋敷だ。
僕らはここに泊まっている、クリュシュナーダ伯もここで治療を受けている。
「名簿にあった人は全部王都に帰りました」
「そう、では予定通り明日からクロスロードの貴族たちを連れて帰って頂戴」
「はい」