3.1.4 竜の襲撃準備
もうじき目的の場所に到着する予定だ。
今日は到着前の最終作戦会議。
荷物持ちでついてきた僕は本来参加できない。
とはいえ、せっかく来ている領主候補なので将来のために特別見学を許可された。
会議を聞いていたが、どうやら竜を倒す方法は落とし穴に入れて行動を制限した後で、光の加護を付けた弓と魔法で攻撃し、隙をついてクリュシュナーダ伯が光の剣で首を落とすというとても雑な作戦だった。
エイミーや他剣の達人たちも参加するらしいが、普通の剣では竜の鱗を貫けないのでクリュシュナーダ伯に頼った作戦だった。
他の騎士たちは竜と一緒にいる魔物の討伐が役割だ。
とりあえず現地に3か所ほど穴を掘るのが後方部隊の仕事だ。
連れてきた騎士たちも魔法が使える貴族は穴掘りを手伝うそうだ。
僕もアメリ姉様が率いる支援部隊で穴掘りをすることになった。
クリュシュナーダ伯が出発前に声をかけに来た。
「オルトディーナ公爵から、君は光属性を持っている可能性が高いと聞いている。だから私のやり方を教えておこうと思ってな」
「そうですか、それは助かります。
光属性魔法は使える人がいなくてなかなか勉強できなかったので」
僕は素直に教えを受けた。
光の剣は、発動に必要な剣が必要になる。
クリュシュナーダ伯が今使っている剣は、中心部がミスリル銀で、剣の部材は退治した魔物の鱗を使っているらしい。
光の魔法を流さないと切ることができない。
魔物を使った部材は魔力を流しやすく、とても硬い剣になるらしい。
金属部材は、魔物と比べると使いにくいらしい。
一般的な魔剣は、作る時に魔物の部材を入れて作られているらしい。
クリュシュナーダ伯が光の剣を使えるきっかけになったのは、家の装飾品として置いてあった魔物の角で作った角剣を触った時だそうだ。
「練習用だ。
これは、昔使っていた物だ。
先端が折れたので研ぎ直したら短くなったのだが、ジルベール君なら丁度良いだろう」
そう言って、小型の魔物の角で作ったと思わる剣をくれた。
それを受け取り、光の魔法を発動させると剣がきらりと光り光の剣になった。
「使えるとは思っていたが、簡単に光らせたな。
私が最初に光らせた時は刃の部分だけだったのが。
ジルベール君の才能はすごいな。
まさか一瞬で使えるとは。
あとは、訓練で使ってみなさい。
解っていると思うが、剣全体を保護しなければ切る時に押し負ける」
「なるほど」
「魔力を込めれば込めるほど強くなるが、魔力の無駄だ。
インパクトの瞬間に魔力を上げる。
離れた時は魔力を下げる。
そういう訓練をしなさい。
では、やり方を見せるのでそれにそって毎日訓練をしなさい」
そう言った後で、クリュシュナーダ伯が見せてくれた。
魔力のコントロールが大変だということが判った。
身体強化と共に、訓練だな。
呼吸するように使えないといざって時に使えないのだろう。