2.20.1 無詠唱と複合魔法
単独の魔法は、無詠唱、詠唱の違いを調べつくした。
被験者が僕とバーニィの2人だけなので、個人的見解にちかいが、詠唱付きの方が圧倒的に有利な魔法が存在する。
例えば、水を作り出す魔法。
水魔法は、魔法を行使した後に水が残る場合と、魔力の消費と共に消えてしまう二つが存在する。
対して、火魔法は魔力が無くなると火が消えてしまう魔法しかない。
水が残る場合と、消える場合の呪文は異なる。
魔力の可視化で違いを見ると“残る”水魔法は大気中や土などから水をかき集めている。
対して“消える”水魔法は魔力が水に変化し魔力の消滅と共に消えてしまう。
消える方の魔法は火魔法と同じなのだ。
つまり、同じ水魔法に分類されているが、周りから集めた水を制御する水魔法と魔力を変化させる水魔法の二つがある。
水の操作性は魔力で作り上げた水の方が良い。
大雑把に攻撃するならどちらの水魔法もあまり違いは無いが、狙った的に精度よく水を当てるなら魔力で作り上げた水の方がやりやすい。
土魔法も同様だった。
大地から集めて使ったり、現存する土を直接変化させる場合と、魔力で土を作り出し硬度の高い矢で攻撃するといった魔法が存在する。
もちろん魔力で作り出した土は使った魔力が無くなると消える。
かき集める魔法は、防御用の壁を作ったり土木工事に使われ、魔力で土を作り出す方はかき集めた土よりも硬度が高いので矢や剣に変形させ攻撃魔法として使われる。
かき集めた土も後で硬化の魔法で強くできる。
そして、集めてくる魔法は詠唱付きの方がやりやすい。
水を集める魔法の場合、見える範囲にある水瓶から水を集めて攻撃する場合は無詠唱でも簡単にできる。
だが、見えない範囲、例えば空中や土の中から探し出す場合は詠唱付きの方がやりやすい。
詠唱することで見えない広範囲に対して魔力を広げ、自動的に対象物を探し集めてくることができるからだ。
これを無詠唱でやる場合は、すべての魔力を制御し反応を感じながら構築することになり非常に負担の大きい魔法となる。
こういった見えない物を集める魔法は詠唱付きの方が楽なのだ。
無詠唱のメリットは見える範囲の物を集め、操作することだ。
加えて複数の属性魔法を扱いやすいのも無詠唱ならではだ。