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2.19.1 8歳の夏

 ブルンスワード領に行ってから1年が経った。

 ようやく職人を受け入れる工房が完成し人が移動してきた。

 おじいさまがこの地を受け継ぐ前、この領地は長い間、低地側の農業地帯を中心に開発され今の人口の大半は低地側に居る。

 高地側は主に魔物の侵入を早めに見つけ退治するために開墾した地だった。

 だが100年前に豊富な水資源と夏の暑さをしのげると新たに工業地域を目指した開発がされた。そのため領主館や多くの貴族がその時に低地から高地に移動してきた。

 いまだに転移門は低地側にあるし、元の領主館は低地を守る伯爵家が受け継ぎ古い家を守っている。

 だが大金をかけて用意した高地側の工房は、作っても売れなかった。つまり輸出がうまく行かなかった。

 この地は隣のゴヤロードを一つ越えればシドニアに通じる。シドニアとの国境付近は奥深い山々で魔物が多く出る地だ。クロスロードの領地は、商人が一休みする中継地として立地条件は良かった。前の領主は工業品を作れば商人が流通させてくれると考えていた。だが現実には商人がこの地まで来てくれなかった。昔から取引のある商人は新しく商売を拡張せず、確実に利益の出せる低地で食料を補充するだけだった。

 おじいさまがこの領地を継承した時には、高地の工房は大半が空き家。大金をかけた工房からは徐々に人が消え領内の消費をまかなう程度にしか残っていなかった。

 大金を失ったクロスロードの領地は荒れ、魔物の危険を排除できず人口が減少していた。

 おじいさまが受け継いだ時には半減したとまで言われていた。


 おじいさまが実施した政策は、農業の強化と魔物の討伐による危険の排除だった。

 減った税収の中で昔からいる民を守ることを優先した。結果、おかあさまがこの地を見るようになった時には、生活する危険は減り人口も増加傾向にあった。

 そこで、元の領主の意向を20年計画で復活を目指したそうだ。そのために商業ギルドを作り、低地側に商人が取引を行う市場を用意した。商人向けの通課税も無くし多くの商人がこの市場で物の取引を行えるようにしたのだ。そしてようやく工房の復活へと進みだした。



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