2.18.2 7歳冬の館で
1日の授業の流れは、音楽の練習から始まる。
歌の練習と、笛の練習。
笛は安いし、作りが簡単なので皆で習うのに適しているようだ。
最初に声を出して眠気を吹き飛ばす。
ちなみに、僕の歌はあまりうまくないらしく、毎回再練習となっている。
音痴ではないはずだが上手くならない。
笛は直ぐに上手くなったのだが、不思議だ。
それが終わると座学の勉強が始まる。
僕は、個別カリキュラムで空間魔法と回復魔法の研究だ。
集団教育での課題の一つが、座る練習。
僕も、座る練習をしているので皆と一緒の時間だけ勉強をするのだ。
多くの子供が授業中じっと話を聞いていることができる。
さすが貴族の子女ばかりを集めただけある。
行儀作法の良い子供ばかり。
ちなみに僕も座ってから45分ぐらいでお尻がむずむずしはじめる。
前世の経験があるので長い時間一つのことに取り組めると思っていた。
だが、実際には今の体の年齢に引きずられるらしく、長い時間じっとしていることができなかった。
だが努力の成果として、とりあえず冬の館にいる間に60分しっかりと座れるようになった。
成長したよ。
お昼ご飯を食べた後、男子は剣の訓練。
僕も皆と混じり素振りをしたり走り込んだりする。
トシアキを始め自警団の人から剣の型を習って練習する。
全体をトシアキが監修しているので基礎の型をしっかりと学ぶようになっていた。
ただ、基礎の型だけだとつまらないと思ってしまうので、適度に対面練習も取り入れていた。
僕は、同学年どころか学生との打ち合い練習をさせてもらえなかった。
指導者として来ている自警団の人としか対面練習していない。
どうやら、他の子供が怪我をさせるのを恐れて組む相手になってくれなかった。
これはジミーにショックだった。
まあしょうがないとあきらめるしかないだろう。
そして、僕とジャックリーンだけが突出して上手いので、大人しか相手にできなかったことも理由だ。
女の子も希望をすれば剣術の練習を受けられるが、希望者はいなかった。
僕らが剣術を練習している間、女の子はダンスの練習で体を動かしている。
男子の剣術の時間は長いので途中で、裁縫の勉強に切り替わる。
その後で低学年は薬草や毒薬の見分け方を学ぶ。
高学年は、農業の基本など貴族として必要な知識を勉強する。
その後で調理の勉強兼、自分たちの食事つくりが始まる。
冬の館には料理人もいるが、貴族でも一人で調理をしなければいけないことは多い。
だから自分たちの食事を作る練習をする。
夕食の時間。
もちろん礼儀作法の練習を兼ねている。
食後は、本格的なダンスレッスン。
男女でペアになってダンスの練習がはじまる。
毎日違う女子とペアになる。
僕は同学年の中で少し身長が高いらしく、ペアになる女の子は少し年上の子になった。
この人生はあまりたくさんの人とかかわってこなかったせいか、人の名前を覚えるのが得意ではない。
前世の影響か日本人と違う顔の作りで、みんな美男・美女。
特に女の子はみんな似たような恰好をしていて覚えにくいのだ。
そんな悪条件の中で、なんとかペアになった女の子の名前だけは、かろうじて憶えられた。
ダンスのレッスンが終わると解散となり、部屋に戻る。
特にすごいイベントがあったわけではないが、疲れるなー。