2.17.6 異世界植物の育て方
次の段階への準備だ。
道具の開発だ。
農民の持っていたのは木製の備中鍬だけだった。
それも杭のような物が3本出ているだけ。
どうやら、平たい風呂鍬すら無い。
いままで土が硬かったから、平たい鍬が役に立たなかったのだろう。
ともかく、鉄の使用を最小限に抑えた農具の開発が必要だ。
元々、錬金術の練習で、硬化の魔法を練習していた。
土魔法で粘土をコネコネ。
魔力を使って硬化。
硬化の方法は、どうやら圧縮したり、加熱したりといろいろな効果を用いて物体の硬度を上げるようだ。
そして、偶然の産物としてセラミックと呼んでもいいような硬度の包丁ができた。
ゴルゴさんに使ってもらったが食材がサクサクと切れる。
ただ、中心部も含めて、ただの土を硬化させただけなので脆い。
切る方向には強いが、横からの衝撃に弱いのだ。
包丁を持ったまま、鍋にぶつけたらあっさりと折れた。
他にも、非常に硬い食物に叩きつけるように切ったらぽっきりと折れた。
同じ要領で剣を作ってみたが、鉄の剣を数回受けたら折れてしまった。
その代り、切り込めば相手の鎧を簡単に切り裂いた。
切れる。
だが弱い。
どうやらこの魔法では包丁以外は作れないようだ。
農具を強くできるかと思ったが、農具には向いていない。
収穫用の道具には使えるかも知れないが、土地を耕すのには使えそうもない。
残念。
そう簡単にすべてのことは解決しないか。
長い目で見よう。
耕す道具が改善できないなら、別の手段を考える必要がある。
大量の農地を耕す農具が無いのだから、農業用の動物を連れてきてはどうかと考えた。
農業用の牛や馬が入手できないのだろうか。
幸い、これは王都周辺ではすでに使われている技術。
数頭の牛と、牛が麦の荒れ地を耕す農具をセットで購入した。
最初は頭数が少ないので育てるところからだ。
農具用の鉄は、クロスロードに工房ができたばかりなので数年で安くできるそうだ。
明るい話もあるので、前向きに進めさせよう。