2.11.1 ブルンスワードへの旅行
6歳の夏。
待ちにまった家族旅行。
今回の旅行は、おばあさまも一緒の旅なのだ。
楽しみ。
家族用の馬車は8人が座れる広さがある。
クロスロード家の家紋が入った、結構大きい馬車だ。
クロスロードの家紋は、黒狼を使う。
クロスロードの北に山主として、古くから存在する黒狼を旗印にしている。
今回の旅行は、リリアーナ母様に、アメリ、おばあさまに、僕、ヘイゼルさんにエレノア。
そしてジャックリーンさんの家族3人。
連れていくお世話係は侍女が3人と医者のシーズさん。
宿泊予定の宿屋には、連絡して現地でお世話係を雇っているそうだ。
クインさんとニナシスティナはお留守番。
合計で12人。
さらに僕の専属護衛のバーニィとトシアキもいるが、他にも護衛が付いている。
大型の馬車1台に中型の馬車が3台。
それに護衛の馬が連なる大きな部隊での移動だ。
領主一家の移動となるとこんな感じが普通だそうだ。
ちなみにバーニィは乗馬が下手なので僕と同じ馬車に乗っている。
向かうは近隣で一番近い大領地のブルンスワード。
ブルンスワードは地図では隣に位置している。
だがクロスロードと接する部分は、高い山があり間をさえぎられている。
徒歩で山を越えれば行けないことも無いと思うが、徒歩ではたくさんの荷物は持っていけないので、山越えする人はいない。
今回のルートは、その高い山を避けていくので、南側の領地ヤンロードを通り、北上してロンドロードに入る。
ロンドロードを王都側に進み、途中で引き返す形でブルンスワードへ分岐していく。
現代知識を使って数十キロのトンネルを掘れば、直通できるかも知れない。
どう考えても無理だ。
移動は、観光も兼ねているので途中の景色が良い所を通り、のんびりと休憩しながら進む。
クロスロード領を出発してブルンスワードに到着するまでおよそ2週間ちょっと。
ブルンスワードの領地に入ってから領主の街に到着するまでにさらに2日かけて移動した。
街に入り、すぐに宿泊所に入る。
夜も遅かったので食事をとり、翌日の支度があるのでさっさと眠った。
前日遅くに着いたせいで気が付かなかったが、朝、窓を開けて外を見るとお城が見えた。
「かあさま、お城が見えます」
「そうね。きれいなお城ね」
「かあさま、ここは王都じゃないですよね」
「もちろん、決まってるでしょ。ブルンスワード領の中央都市よ」
「王都じゃないのにお城があります」
「ここ、ブルンスワード領は古くからある土地ですからね。
あのお城は改築を続けていますが、ラルクバッハの建国前からあるのよ」
「えーー。
築300年以上。すごいなー」
「さあ、朝食を食べたらあのお城に出かけるわよ」
「はい。お城の中にいけるんだ。楽しみだな」
僕らは宿泊所で、少し豪華な食事を食べてからお城に向けて出発した。