2.10.4 スライムの沼
さて、スライムが減ったので、米の回収が可能となった。
残っている稲をできる限り回収してもらった。
それらを役場にあった資料にあわせて精米し炊き上げる。
コルドマイムさんが品種改良した米はかなりおいしかった。
日本の米に近い味を持っていた。
すばらしい。
リリアーナかあさまからも許可が出て、収穫した米を使って領内で米つくりを始めることになった。
コメの名前、ブランドがあった方が良いと思い、コルドマイとしてもいいか現カリエール子爵に聞いてもらった。
返事はすぐに来た。
現在のカリエール子爵から、先祖の名前を使ってくれるなら喜んでとのことだった。
ヘイゼルさんにコルドマイムさんの資料を読んでもらい、水田の作り方や育て方を調査してもらう。
この領地の川の西側が沼地地帯になっている。
そこは大麦や小麦の生息には適していなかった。
現在の沼地帯一帯に領民は住んでいない。
だれも住んでいないところは領主に耕作の権利があるので、沼地を改良しても文句は言われない。
ヘイゼルさんが、水田ができそうな土地を選んで田んぼを作る計画を立てる。
僕も、ヘイゼルさんと一緒に水の引き方や区画の大きさを考えた。
その後、もっと大規模になった場合も想定して、当面必要な分の水路を作る。
バーニィが土魔法で水田の形を作ってくれた。
もちろん僕も手伝う。
美味しいコメを食べるために頑張った。
水田の農地改良は人を雇って土を裏返す。
1年目は、少し小さめの区画で用意しいろいろと試すようだ。
コルドマイムさんが書いてくれた農機具も使って田んぼの土をひっくり返す農具や等間隔でコメを植える装置、それに刈り入れ用の農機具開発も始まった。
ほぼ全てをヘイゼルさんがやってくれている。
僕ができたのはほんとに一部。
みんな僕の言うことを聞いてくれるが、5歳の子供の我が侭に協力してくれるのだから、皆良い人ばかりだ。
そして、冬の間に田んぼを耕し、本格的な準備が完了した。
2.10.5 スライムの沼
田植え用の苗つくりからはじまり、時期になったら田植え。
用意した水田にはスライムも一緒に生息している。
害虫を食べてくれるが稲は食べないスライムだ。
このスライムたちは冬の間に凍ったり干からびたりしてしまったのだが、家に連れて戻り水につけたら生き返った。
低位のスライムは、核が壊れなければ割と平気で生き返るらしい。
いやはやなんとも不思議な生物だ。
スライムがいるおかげで水田は割と手抜きできる。
おとなは近くの畑をつくっているので、水田は子供たちが交代で見回りをしてくれる。
いつも、稲の様子を見に行きスライムが一箇所に集まり過ぎない。
スライムの数が増えすぎないように報告してもらう。
水田の配置図に、その日見てきたスライムの位置を石を置いて様子がわかるようにしているのだ。
スライムの配置が偏った場合は、子供にスライムを突っつかせて移動させる。
数が増えていたら大人が他へ移動させたり間引いたりしている。
1年後の6歳の誕生日には、すくすくと育った稲が元気に育っていた。
秋の収穫が楽しみだ。
今年の苗付では毎日食べられるほどの量は取れないだろう。
来年はもっと増やしたいな。
しかし、食べ方を工夫しないと。




