Vin douxの甘口かしましラジオ
朱「あけまして」
白「おめでとうございます」
朱「Vin douxラジオ、新春スペシャルでございます」
白「新しい年を無事に迎えることができました。今年もどうぞよろしくお願いします」
朱「収録している今現在はまだギリギリ酉年なわけですが」
白「いきなり時空を歪ませる発言は控えて下さい」
朱「来年から善処します。只今絶賛笑うと怒られるシリーズ放映中ね」
白「戌年は全力でひわさんのリードを引いて行こうと思っているので、覚悟していてくださいよ」
朱「いつの間にららちゃんはブリーダーになってしまったのかしら」
白「と、いきなり梯子が外れちゃいましたが、私たちも変わらず元気に、変化しながら活動を続けていこうと思っていますので、本年もどうぞ楽しんで頂けたら幸いです」
朱「さっきから新年のご挨拶を重ねているけれど」
白「うん?」
朱「私たちまだきちんと自己紹介していないわよね?きっと聴いてくださっているリスナーさんの大半がいやいや貴様らは何ぞやと、誰によろしくしろってんだと怒っているんじゃあないかしら」
白「何でリスナーさんの中に伯爵がいるの?」
朱「配信媒体も変わっていることだし、自己紹介もきちんと一から始めるべきではないかしら」
白「そうだね。媒体が変わっていることをすっかり忘れていたよ」
朱「皆々様ご機嫌麗しゅう。私はVin douxの影の支配者、真朱ひわと申します。そして」
白「そして、じゃないよ。何も紹介できてないじゃない。Vin douxっていうグループが悪の組織的なそういうグループって勘違いされちゃうでしょ」
朱「いつからそれが勘違いだと思っていたのかしら」
白「ややこしいことを新年早々言わないでください。私を悪の組織の構成員にしないでください。加担したくないです。やり直しを要求します」
朱「皆々様ご機嫌麗しゅう。私は芸能事務所AnnapurnA所属の女性アイドルユニットVin douxのプロデューサー兼メンバーの真朱ひわと申します。そして」
白「同じくVin douxのひわさんのお目付け役、清白ららです」
朱「お目付け役って。そこは相棒かベストフレンドというところでしょう」
白「なんでユニットにそぐわない単語を引き合いにだしたの。ベストフレンドって」
朱「巷ではBFFなんて言葉が流行っていたようだけれど、私個人としては心友の方が心打たれるわ。心の友と書く方ね」
白「それには同意だね」
白「あとは盟友とか」
白「また偉く格好良い言葉を選んできたね」
朱「格好良いというか、どちらかというと重たい言葉よね。はい、ということで私の愛すべき盟友、清白ららちゃんです」
白「重いことを前提にして使わないで。軽いのもどうかとは思うけど、もう少しユニット感を大事にしていきましょう」
朱「では私のご主人様とでも呼べば良いのかしら」
白「自分を犬扱いしないでください。それに犬とご主人様にあるのはユニット感というよりコンビ感でしょ」
朱「あらあら要求が多いんだから」
白「ぜんっぜん本題に入れないので、そろそろバシッと決めて下さい」
朱「はい、こちら私のバディの清白ららちゃんです」
白「というわけで、私たちアイドルユニットVin douxのラジオ番組『甘口かしましラジオ』なのですが、2016年秋ごろから不定期で配信されてきました」
朱「不定期なんて言葉を使わないで、正直に配信されたり打ち切られたりと言いましょう」
白「ひわさん、潔いと開き直りは別物だからね」
朱「本年度こそ定期配信をもぎとろうと奮闘はしましたが、そちらの報告は今回出来そうにございません。プロデューサーの全面的力不足です。この場をお借りして謝罪させて頂きます」
白「なので今年も不定期ではありますが、聴いて下さった皆様方が少しでも楽しい気持ちになって下さるよう精進して参ります」
朱「2018年ラジオ企画第一弾と称しまして、今回は新春スペシャル、これまでの活動を少し振り返りつつ楽しくトークして参りますので、どうぞお付き合いください」
白「それでは今宵も私たちにほろ酔いしてくださいな」
朱「ではではまずは手始めに、昨年の思い出を語り合っていこうじゃありませんか」
白「ウォーミングアップ感を出してくれてるんだけど、本編だからね。やっと前説が終わったんだから、エンジンかけていこうね」
朱「これまでの活動を振り返ってとは言うけれど、私たち不定期と言いつつやっぱりラジオが一番目立った仕事だったわよね」
白「そうだね。あ、でも今年は夏に大きなライブにも参加したよ」
朱「ららちゃんも時系列のややこしい発言をしているわ。そうねきちんと2017年と言いましょうか」
白「沢山のアイドルさんたちが出演してて、いろんな刺激をもらったよね」
朱「そうね。事務所の先輩ともコラボレーションさせてもらって感無量だったわ」
白「あの時ひわさんが関係者席の柵を壊すんじゃないかと思って肝を冷やしたことを思い出したよ」
朱「あらあら懐かしいわね」
白「懐かしむほど昔の失態ではないですからね」
朱「あらあら手厳しいわね」
白「ひわさんは昨年を振り返ってみてどうなの?」
朱「そうね、正直な感想を言えば、物足りないかしら」
白「物足りない」
朱「プロデューサーとしてもっとできたことがあったんじゃないかと思わずにはいられないわ。今年もラジオの定期更新を逃してしまったし」
白「こういうと響きが悪いかもしれないんだけど、ひわさんの口からそういう言葉が出てくるのって少し意外かな」
朱「と言いますと?」
白「あんまりそういう真面目なことラジオでは言わないから。こうやってリスナーさんを聴き手に想定して、真正面から悔しさを出すと思わなかったな」
朱「そんな私に惚れ直したと」
白「そうだね、うん、私の相方が素敵な人だと改めて思いました」
朱「澄んだ瞳で返されると中々どうして照れるものがあるわね。いやでも、別に取り繕うわけではないけれど、悔しさはバネにもチャンスにも姿を変えるものだと思うのよ。だから声に出すことに躊躇いはないのよ」
白「そうだね。私はアイドルとしてこういうお仕事させてもらえる一つ一つに、そうだな、振り回されている感じ。全然乗りこなせない」
朱「それは一つ一つの仕事に丁寧に接しているからでしょう」
白「そういって貰えると嬉しい。でも、それで満足しちゃうというか周りがきちんと見えてないんだなってことも、やっぱりよく思うの。特に夏のライブで周りのアイドルの皆さんと接していると」
朱「確かに必死にできることを模索して駆け抜けていく先輩方の姿を目の当たりにすると、焦るものね」
白「私たちにも、もっとできることがあるはずだって思う」
朱「だからこそ、こうやって私たちの原点でもあるラジオを通して、もっと可能性を実現できる一年にしたいわ」
白「うん。さすがに一年とちょっと経って、こうやってマイクを挟んでひわさんとお喋りするのにも慣れてきたから、沢山の人たちに楽しいを届けられるようトークも磨いていきたいね」
朱「思いのほか真面目な感じになってしまったわね」
白「いいじゃない新年なんだから。少しくらい厳かな雰囲気でお届けしても。ではではひわさんは今年の抱負なんてあるのかな」
朱「そういうのは番組の終盤で聞くものでしょう。まだこれアバンタイトルと同じ量くらいしか喋ってないわよ、本編なのに」
白「それもそうだね」
朱「今年の抱負はラジオの音声化です」
白「批判してからアッサリ答えるのやめて。え、ラジオって元々声の配信でしょ?」
朱「より具体的に言うなら私たちの声帯になってくれる人を募集しております」
白「待って待って待って次元を歪める発言が聞こえたよ今」
朱「あらあらそんなことを言っている間に、除夜の鐘が聞こえてきたわね」
白「聞こえるわけないでしょ。スタジオの防音設備を甘くみすぎだよ」
朱「あ、そっか常人には聞こえないことを忘れていたわ」
白「非凡さを出さないで。普通に時計を見たんでしょ」
朱「というわけで改めまして、戌年もよろしくねご主人様」
白「真面目な話をついうっかりしてしまったからってそんな剛速球でふざけなくて良いんだからね」
朱「良いんだからねってちょっとツンデレ風味よね」
白「そういうとこそういうとこ」
朱「ららちゃんにツンデレのイメージは皆無だけど。いっそ今年から始めてみる?ツンデレ」白「ツンデレってそんなサービスみたいに始められるものじゃないでしょ」
朱「アイドルも商売なのだからサービスで間違いはないわ」
白「生々しいことを真顔で言わないで。始めませんからね。それにVin douxにはちゃんとツンデレの人がいるんだから、キャラ被りになっちゃうよ」
朱「あらあら記憶が曖昧なのだけど、るんちゃんの話って出しても良かったのかしら」
白「私がお休みをいただいた回のラジオでるんちゃんとトークしてたでしょ」
朱「ああそうだったそうだった。記憶の淵から蘇ってきたわ。そんなこともあったわね」
白「オンエアを聴いたけど、るんちゃんの怒り方が本気すぎて驚いたからよく覚えてるよ。というかあんなに怒られたのによく忘れられてたね」
朱「いやね、子猫とじゃれていただけよ」
白「るんちゃんには今回の放送は聞かせられないなぁ」
朱「本当はスペシャルなのだから、るんたそにもスタジオ入りして欲しいところだったのだけど、新曲に着手しちゃっていたようで物凄い勢いで怒られたわ」
白「それは怒られちゃうよね」
朱「でも私は諦めないわ」
白「うん?」
朱「またここにるんたそを召喚してみせる」
白「呪文詠唱しないで、ちゃんと仕事として正規のルートでオファーしてください」
朱「晴れてVin douxメンバー全員で和やかなラジオをお送りしたいわ」
白「こういうと二人が仲悪いんじゃないかと思われるかもしれないけど、るんちゃんとひわさんが揃って和やかな空気になる予感が全くしないんだけど」
朱「そこは最年長であるららちゃんの裁量でしょう」
白「荷が重すぎる。無茶言わないで」
朱「いえいえでも実質ツッコミが増えるんだから、むしろららちゃんの負担は減って然るべきでしょう?」
白「自分のボケが負担と思われる域に達している自覚があるなら、もう少し手加減をしてくれても良いんだよ」
朱「それじゃあ面白くないでしょう」
白「そのサービス精神は尊敬するけれど」
朱「私が」
白「愉快犯じゃない」
朱「まず提供者が楽しくないと受け手が楽しんでくれるわけないでしょう」
白「確かに一般的な意見だけど、かといってやりすぎは何事も毒になるんだよ」
朱「それもまた一般論ね」
白「確かにツッコミ要員が増えるのは喜ばしいんだけど、るんちゃんは対ひわさんだと過剰自衛というか」
朱「さらっとバディを変質者扱いしないで頂きたいのだけど」
白「そもそも、ひわさんとるんちゃんが犬猿の仲すぎるよね」
朱「仲が悪いつもりはないのよ」
白「ある意味息が合いすぎてるのかな?」
朱「るんたその反応が面白くてついつい構ってしまうのは否めないわ」
白「本当に子猫扱いになってる」
朱「私、サボテンとか枯らしてしまうタイプなのよ」
白「納得。といったところでそろそろ巻いてって指示が出てるね」
朱「あらあら本当ね、では次のお題に。というか最後のお題ね。ららちゃん今年の抱負をどうぞ」
白「お仕事関連のことが良いかな?」
朱「本気の抱負で大丈夫よ」
白「えっと、一つ目はライブ。去年の夏のライブも楽しかったんだけど、今度は事務所単位とか単独でライブをしたいです。あと私事になるんだけど、二つ目は記録。昨年は瞬く間に過ぎ去って行っちゃったから、日々をもっと大切に生きていきたい。だから色んなことを記録して振り返れるようにしたいな」
朱「そうね。ライブは特に私もやりたいと思っているわ。なんとか365日中に叶えられるようにしたいわね」
白「うん。一緒に頑張ろう。じゃあひわさんの今年の抱負を、時空が歪まないバージョンでお願いします」
朱「そうね、まあ音声化も本気だけれど。一つ目はるんたそをステージの上に連れて行くこと」
白「嫌そうな顔をするのが目に見えるなあ」
朱「あとはそうね、感謝と礼節を忘れない、自分を幸せにしながら毎日を過ごすことかしら」
白「普通に素敵な抱負だ」
朱「抱負ですからね。誰かに幸せにしてもらおうなんて、そんな身勝手はないし。誰かを幸せにしたいと思うのは愛かもしれないけれど、それを実行するのは傲慢が過ぎるもの。だから私は私を幸せにするわ。そのおこぼれで誰かが幸せを感じてくれているのなら、そんな光栄なことはないと思うけれどね」
白「強いな、ひわさん」
朱「だから是非皆々様私のおこぼれで幸せになって頂戴」
白「そこだけ切り取ると傲慢が過ぎるよ」
白「はてさてそれでは新春スペシャル、そろそろ宴もたけなわでございます。楽しんで頂けたでしょうか」
朱「今年も私たちはこんな感じで私たちらしく活動を続けていきますので、どうぞ見守って下さいな」
白「比較的まともな滑り出しになったんじゃないかと思うんだけど」
朱「普段が酷いものね」
白「全部でないにしろ確実にひわさんが一因を担っているんだから、少しは悪びれて下さい」
朱「あらあら言われてしまったものね」
白「それではまたお会いしましょう。お相手はVin douxの白担当、清白ららと」
朱「Vin douxの紅担当、真朱ひわでした」