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第6話 これまでの人生

ベッドにダイブすると、途端に疲れがでた。

そりゃそーだ、今日だけで今までの人生を吹き飛ばすぐらいの出来事があった


いや、実際に吹き飛んだが


ゆっくりと体を起こして、パンイチになってから荷物を整えた

窓の外は、間違いなく異世界だ。


海外なんて行ったことないけど、テレビで見た海外の風景とも違うし、ましてや小さな子供が働いていた

それだけでもかなりの衝撃だ


あれ?そういえば言葉難なく通じるな

魔術があるぐらいだ、言葉は不自由しないのか


日本で俺達はどうなっているんだ

神隠しか?ここで悩んでも仕方ないな


風呂に入ろうとしたが、使い方が全く分からず断念した

明日アシュリーに聞いて朝風呂にしよう

今から聞きに行くのには億劫だ


ボフンと本日2度目のベッドダイブ


俺がこの世界に居るって事は、父さんと母さんのお墓参りが出来ない

俺しかいないのに・・


「ごめん・・父さん・・母さん・・」


顔は知らなくても俺の両親だ。きっと生きていたら愛してくれていたはずだ。


手縫いの産着

俺ばかりを写した沢山の写真

父が俺をお風呂に入れたくて作ったお手製の育児ノート


これらは両親の形見

きっと俺を望んで産んでくれた。

それだけで心が温める


「ごめん・・ごめん・・」


俺は声をころして泣いた

戻れないという現実に今更、不安とか恐怖、寂しさ

色々な感情が溢れて、涙になった


孤児院の連中には、暑くなったら高級アイスを買ってやる!とか意気込んでたのに、約束も守れないダメな兄だ


「ウッ、ヒック」


会いたい・・孤児院のみんな

会いたい・・父さん母さん


暫く泣くと、人間って疲れるもので、タオルを水につけて絞り、目に当てた

ひんやりとする目元が心地いい

俺は力尽きたように、ベッドに入るとそのまま寝た


朝目覚めると、アシュリーに風呂の使い方を教えてもらい

湯船に浸かった。体が温めると少しばかり気持ちは持ち直した


「まてよ・・ちょっと待て・・」


「居なくなったから誰か俺の部屋に入って・・」


「いやーーーーー!」


体育座りのまま浴槽に入っていた俺は、思わず顔を両手で覆った、今の姿は女子力100%


「PCのHDDだけは見ないでーーー!!!」


俺の叫びは浴槽内に響き渡った




アシュリーと合流して、朝食を屋台で済ますと、街の中心部にある、移転魔法の陣がある棟に入り、最寄りの街に移転すると、馬車に乗り半日。ついに俺は『スペランツァ領』に入った。

領の中心部へと向かう為、暫くはまだ馬車の中だそうだ



「カナデ、私の話に乗ってくれてありがとう」

「どうした?急に」

「全く知らない世界に来たのに、優しい言葉も掛けずに、連れ出したのを後悔してるの・・もし嫌になって離れたいと思ったときは遠慮なく言って欲しい」


「ああ、分かった」


思ったよりいい子だ

なんか上手くやれそうな気がする









っと思ってた俺がバカだった

上手い話なんてない、アホか!俺はアホか!


ハッキリ言おう。『スペランツァ領』は貧乏の度を越している




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