第5話 ギルドのあれこれ
「えっーと・・・どれを選べば」
「私が選んでいいの?」
「願ってもない!お願いします」
深々と頭を下げ、早々に丸投げした
アシュリーが選んだ服は、動きやすさ重視で、上質なのが分かる、商人風か旅人風といったところか
あーでもないこーでもないとアシュリーが選んで試着したせいか、俺の体力はゴリゴリ削られていた
こっちはHP10だからな!全く
選び終わると、観光をする事になった
要は王都の暮らしぶりを観察して、領地に活かすという事だが、俺は初めての異世界観光で大興奮していた
しかし
俺の体力が底をつき、宿を取って明日領土に向かうプランになった
情けない・・・ふぅ
宿屋は三階建てになっていて、一階は酒場、二階より上が宿になっていた
受付を済ませると、日は沈みかけていて、早めの夕食を取るようにして、酒場へと向かった
「そういえば、どうしてアシュリーは、あの場に?」
「私とキャロライン様は幼なじみなの、異世界人がきたの知ったら、普通は見たいと思わない?」
幼なじみって・・・やっぱりどこぞのお嬢様か
「見たい気持ちは分かる。アシュリーの家族は領土に?」
「いないわ。私がまだ小さい頃に天に帰られたから・・・
それで王宮でキャロライン様のお話し相手として育てられたの」
「そうか、踏み込んで悪い」
「いいの、昔の事だし・・・それに、カナデだって、二度と会えなくなってしまったから、私もキャロライン様も申し訳ないと思っているの、ごめんなさい」
アシュリーはシュンっとしてしまった
「全く平気とは言わないが、俺も肉親を幼い頃に亡くしてるし、顔も知らない。気にしないでくれ」
「そう・・・ おなじなのね」
「なら 私が・・・カナデの家族になるわ!」
「ゴフッ!」
思わずスープを詰まらせた
プロポーズか!
「俺はもっと幼くて可愛い妹ならほしい」
アシュリーは半目になって俺を見てきた
言葉選びを間違えたようだ うむ、話をかえよう
異世界定番である、ギルドについて知りたい
「ギルドってあるか?」
「あるわよ。冒険者ギルド、商人ギルド、生産者ギルド、大きく分けるとこの三種類かなー?三者が混ざってあるギルドもある」
やっぱりあった!ニマニマとしてしまった
「ほーなるほど、ギルドってのは何をするんだ?」
「カナデの世界にはギルドはなかったの?」
「なかったな」
「そう、なら一から説明するわね」
「お願いします!」
「この世界の中心に魔王島という、魔族が蔓延る島があるの、その魔族達には、強さを分けたランクがあって、F~Aそれから別枠のS、魔王は魔王になるわ」
ふむふむと首を縦に振った
「魔族は人の生命力や欲求、魔力なんかを食べるから、ある程度の強さになると、島を出て、こちらの大陸に来るの、それを退治するのが冒険者ギルド。
その中でもAとS級の魔族はとても強くて、国をあげて討伐なんかにもなるわ、さらにこのAとS級は一箇所に留まってダンジョンを作る事があるの、まぁー数は少ないけどね」
「ダンジョン!?」
なんと!ダンジョンまであるのか!?
胸熱展開だ! 俺はダンジョンには入れなそうなスペックだが・・・
「ええ、因みに私達の領土にもあるわよ、S級のダンジョン。ずっと攻略出来ずにそのまんまぁ~」
「大丈夫なのか?ダンジョンから魔族が出てきたりして・・・」
「出てくるのは低級の、S級が使役しているただのモンスターだから安心して。それも私が結界を張っているから大丈夫よ」
「結界?」
アシュリーはコホンと咳払いをすると自信アリげに人差し指を立てた
「領主になるには領土を守れるだけの結界を張れる者しかなれないの、殆どは魔術師が領主となり結界を張る。だけど魔術師には統治する才がないものが多いから大概は副領主に統治する者を据えるのよ」
「成程。ならば領土が広ければ広いほど、領主になる魔術師は優秀でなければならないって事か?」
「その通り!カナデは理解が早いのね」
S級ダンジョンを有する領土か、もしかしたらアシュリーは本当に優秀なのかもしれない
「商人ギルドについても説明するわね、一番大きいギルドだと『ハマカーン商会』があるわ。その」
アシュリーは俺の服を指して、うふっと笑った
「着てる服もハマカーン商会よ。各領に商会の支店があって独自の交信魔術を有している。だから王都で頼んだ品物を他の領地で受け取ったりもできる」
「便利だな」
「ええ、その品物を作るのが生産ギルド。基本は扱う種類によって一つのギルドがある。例えば、武器だけを扱う生産ギルド、衣類だけを扱う生産ギルド、馬車の荷台だけを扱う生産ギルド、とこんな感じねー」
となると、生産ギルドはかなりの数がありそうだな、もしかしたら就職は簡単だったもしれん
安請け合いしてしまった のか?
「そうか、ならそのアシュリーの領土にある支店でも受け取れるって事か」
「『スペランツァ領』ね。残念だけど・・。支店はないわ。スペランツァ領に行けば分かる・・」
アシュリーのテンションが下がった。
何かあるな!臭うぞ
「さぁ今日はもう疲れたでしょ?休みましょ」
「そうだな、食ったら眠くなった」
ふふっとアシュリーは笑い俺達は予約した個室へ向かった
「カナデ!おやすみなさい」
「ああ、アシュリーおやすみ」
挨拶を終えて、部屋に入るとベッドにダイブした