第3話 就職先決定!
ステータスを下げてから、扉へ向かった。
先程とは打って変わって、談笑していた騎士と文官はキリッとして一列に並んでいた
「ご案内致します、カナデ様」
横から声を掛けられて、顔を向けると、ニッコリと微笑みながら、王女のキャロラインさんがいた
「はっはい、よろしくお願いします」
「こちらです」
歩き出したキャロラインさんについて行くと、キャロラインさんが先導に彼女の横に見知らぬ女の子がいた
部屋に入ると女の子も入ってきた
中央に丸テーブルがありそこに三人で腰を下ろした
「まずはお食事を」
キャロラインさんが目配せをすると、侍女達らがさっと食事のを用意してくれた
メインの肉、野菜?のスープ、パンにサラダ、あとジャガイモのグラッセみたいなやつ
仕事終わりからの召喚だったから腹が減っていた俺は周りを気にせずがっついた
「美味い!肉汁が絡んだ濃厚のソースであっさりスープと合う!」
プッと見知らぬ女の子が笑いだした
キャロラインさんは微笑むと話しかけてきた
「お口に合ったようですね、安心しました。」
「はひ、おいひーです」
「アシュリー、自己紹介を」
「私は魔術士のアシュリー、よろしく!」
「佐藤奏です。よろしくお願いします」
アシュリーと言った彼女は肩まであるブルーの髪で目は緑色、ファンタジーの世界だ、しかも巨乳でめちゃくちゃ美少女。何処と無く色気まである
DTの俺からしたら話すだけでかなりのハードルだ
だが、このファンタジーな世界だからか、不思議と緊張はしない
「それで、お話があるのですが・・・」
キャロラインさんの声は高くて可愛い、女の子!って感じだ
テンションが上がってしまうのは致し方ない。
「王宮から出てけって話ですか?」
どうやら確信をついたようでキャロラインさんは目を見開いて固まってしまった
「出ていくのは構わないというか、当たり前だと思っていますが、仕事を紹介して頂けないでしょうか?異世界人では身元を保証できないので・・・出来ればでいいのですが・・・」
「えっええ、私達に出来る事柄であれば、協力は惜しみません。カナデ様は巻き込まれてしまっただけですのに・・・」
「もう、こちらに来てしまったので足掻いても仕方ないと、諦めているだけです」
俺の抑揚のない言葉に、キャロラインさんは目を潤ませた
「申し訳ございません」
「いえ、謝られても・・・ 前の世界は、働いてお金を稼いで生活する。これが大まかな流れですが、こちらも一緒ですか?」
「はい・・・同じでございます・・・」
キャロラインさんは落ち込んだまま、俺の質問に答えた
こんな可愛い子が、弱々しく涙を浮かべて謝られたら、大体の男は突っかかれない。
王め!わざとキャロラインさんに説明させたな!
しかーーし。俺は騙されない
「奴隷みたいな扱いは勘弁して頂きたい。それから決定する前に一度、話を通して下さい」
少し強めに言った。だってそうだろ?ラノベの定番だと、この後城を出て殺されかねないし
尚且つ、異世界から来た俺は扱いづらいし、幽閉とか飼い殺しとか
話が通じるうちにキチンとせなー
キャロラインさんは潤んだ目を少し見開くと、コテンと小首をかしげて、手を口元に困った顔をした
まるでぶりっ子の手本だ
なまじ、顔が可愛いだけにさぞ破壊力は抜群だろう
二次元慣れしてる俺。舐めんなよ!
「それ、可愛いと思ってる?」
アシュリーはあんぐりとして
キャロラインさんは涙が引っ込んでた
失敗した。まさに失言だ。やっちまったー!
軽いノリで言ったつもりがー!俺の心臓はバクバクだ
挙動不審にならないように、必死に冷静を装った。
暫しの沈黙。キャロラインさんが口を開いた
「カナデ様のお話、承りました。・・・カナデ様から見て、その・・・私は見目がお気に召しませんか?」
「へぁっ?」
カウンターに変な声で返してしまったー!
「召喚された女性お二人は、黒髪で瞳も黒で・・・ございましたので、カナデ様にとって、私達のような者はご不快を与えてしまっているのかと」
「いいえ、可愛いとは思いますよ?普通に」
二人は、驚きながら普通?っとぶつぶつ話しながら、俺の発言を理解しようとしているようだ。
「あと、俺のスキルは生産のスキルみたいで、それ系の仕事を紹介して頂きたい」
「はい・・・分かりました」
「ならば私が紹介しよう!」
元気よく発言したのは、巨乳のアシュリーだった
「最近領土を頂いたの、でも私は魔術しか勉強して来なかったし、どう治めて良いやらと悩んでいて・・・生産のスキルがあるなら、私の領土を治めるお手伝いをやってみない?」
「領土?」
「ここから、転移魔法一回、馬車で半日かかる場所
国の南に位置する『スペランツァ領』。長らく前の領主が床に伏せっていたので、貧乏だし、土地は荒れている。つい最近元領主が天にお帰りなされて、それで私がもらったの!」
もらったの!って只の金持ちか?
「その領土をどうしたいのですか?」
「んー・・・私はよく分からないわ。出来れば全部カナデ様にお任せしたいぐらいよ。
・・・っていうか、私魔術士なのよ!領民を引っ張ったりするのは苦手だし!そもそも研究室に篭って好きなだけ魔術の事を考えていたいの!!」
「さいですか」
ちょっと呆れた。ただのお嬢様みたいな発言だ
「もちろん、私も手を貸します!こう見えても国で一番の魔術士なのよ!どう?住み込みでやってみない?」
国一番には見えないが
住む場所と仕事があるのは魅力的だ。
とりあえず、金貯めるまでやって、おいおいちゃんと考えるか
「分かりました。よろしくお願いします」
「やった!」
「宜しいのですか?」
キャロラインさんはオロオロしていた
アシュリーはニッコリ笑顔でウキウキだ
「止めたほうがいいですか?」
キャロラインさんに聞いてみた
「そういう理由では・・・ただ・・・お決めになるのが、お早いように感じてしまって・・・」
「でも、早く働くに越したことないですよね?」
「・・・・・・私が止めるのはおかしな話ですね
カナデ様のお心遣い感謝します」
「そうと決まれば出発!まずは王都の街に降りてカナデ様の身なりを整えよう!馬車の手配をしてくるわね!ちょっと待ってて!」
アシュリーは立ち上がって、ルンルンと退室した。
俺はいそいそと残りの飯を漁った
侍女さん達が扉の傍に居るが、キャロラインさんと二人で対面は気不味い
いやー気不味い