第2話 生産チート?
俺達は広い応接間に通された
高校生四人は長椅子に座り、対面するように王が向かいの長椅子に座った
四人が長椅子に座ったからか・・・
俺の座るところがない!!ざけんな!オラー!
高校生側に立った。しょうがねー俺は大人だからな!
けっ
「自己紹介をしよう。私はこの国の王で、名はウォルター。ウォルター・レバンティン・コンソラータだ。」
最初に喋った中年の男性が王だった。
王の後ろで立っていたイケメンと可愛い女性が一礼をして口を開いた
「ウォルターの嫡男で第一王子です。グランツア、グランツア・レバンティン・コンソラータです。以後お見知り置きを」
「ウォルターの長女で、キャロライン・レバンティン・コンソラータです。以後お見知り置きを」
二人は美男美女だった。いやーすごい麗しい。
この御三方は、見事なブロンドに、透き通るようなブルーの瞳、まるで物語の王子様と王女様だ
四人はポーっとそれぞれの異性を見ていた
気持ちは分かる。
「では、勇者様から自己紹介して頂けますかな?」
王様はニッコリと微笑み、促してきた
「あっはい!俺は、田中勇気、17歳で高校三年です」
長身イケメンは爽やかだった。少し伸ばしている髪がまた爽やかさを際立ている
「私は柏木百合です。18歳で高三です。」
自身なさげに言った。姉であろう彼女は黒髪を腰までストレートに伸ばして、小動物のように目を不安げにウルウルさせていた
「百合の妹で、柏木苺です。16歳で高一です。」
姉の百合の腕に捕まりながら答えた。苺ちゃんはまだまだあどけない少女だ。黒髪のボブで可愛い
「秋元大地、高三だ。俺達四人は幼なじみです」
耳まで切りそろえた黒髪の男は幼なじみと言った。
まじか
俺は完全に部外者だな・・・
「コウサンとは何かな?」
王様達は首を傾げながら聞いてきた
「称号みたいなものです、王様」
大地が卒なく答えた。俺のほうが歳上なのに
うわー自己紹介したくねー
そうかそうかと頷くと、俺に視線が集中した。
「佐藤奏です。28歳で・・・ フリーターです。」
みんなの顔にふーんと書いてある。
興味あるのは勇者達で俺ではないからか・・・
「それでだ・・・ カナデ様、その言いづらいのだが・・・」
「はい。分かっています、俺は巻き込まれた・・・ですね?」
「ああ、申し訳ないのだが・・・返す術はない。が、職を紹介してもいいし、何か学んでもいい。好きなだけここに居てもいいが、勇者様達とは共に過ごせない。これだけは了承して頂きたい」
いや別に俺も初対面だし、一緒に過ごさなくても問題はないが、あからさまに俺を否定されたようで少しムッとする
「分かりました」
それにきっと、ここに居てもいいと言ったが、何も持たない俺が長居できない事ぐらいは理解した
「そうか、理解が早くて助かるよ、カナデくん」
様が消えた。早く出てけって意味か?
他の四人はそわそわしながらお互いに声を掛け合っていた
不安だし、自分の事で精一杯だと思う。
俺もそうだし
でも四人は特別なスキルを持っている、少し浮き足立っているのもみえる
そこが俺との違いで、彼らが取り乱さない理由だろう
ラノベの知識やら、社会経験がなかったら俺は発狂してる自信がある
「あの、俺のスキルって何ですか?」
ステータスを見た時からずっと疑問に思っていた事を聞いた
「カナデ様のは生産系のスキルになります」
後ろに控えていた文官が答えた
「生産?物を作るってことか?」
「左様でございます、物と物を融合できます。最初は無機物ですがレベルが上がれば意思を持たないもの、植物なども融合できます」
「融合?」
「はい。例えば」
「その話は後にしてくれ」
王様はつまらなそうに足を組みながら、吐き捨てるように言うと、目で一喝してきた
「失礼致しました」
文官は頭を下げながら足を引いて、壁際に控えてしまった
―コンコン
―ガチャ
「お待たせ致しました。泉の準備が整いました。」
白い布で金の刺繍で縁取りされた衣装を頭から被った神官らしき人が顔の前で両手の拳を合わせながら言った
俺達は?になりながら周りを見た
疑問に思っていたのを感じたのか王が口を開いた
「こちらに魂が定着する儀式です、始まりの泉に入り祈りを捧げます。終わったら食事の準備をさせましょう」
俺達は神官や騎士と文官達をぞろぞろ引き連れてその泉の部屋まできた
驚く事なかれ、王宮の中に泉があるのだ
扉を開くとジャングルみたいに緑が生い茂って中央に泉があった
泉にはエンジェルロードがありとても神秘的で美しい
空気すら美しい
しかも、その泉は水が張っているように見えるのだが、何故か濡れないらしい
いやーファンタジー
「勇者達、巫女様、戦乙女様、大魔法士様から順番にどうぞ」
おい、俺忘れてるぞー
声には出さないけどな
彼らが順々に入り、出てくると神官からステータスを出すように促されていた
なんとスキルレベルがMAXになっていたとか・・・
これ以上チートになるんすか?へー
最後の大地とやらが出ると神官達は彼らを取り囲みながら部屋から出て行った
残された俺の扱いに戸惑う文官やら騎士らがいる中で勝手に入った
泉の真ん中にあるエンジェルロードまできた、水かさは俺の膝辺りで浅い。
そこで正座をして祈るように腕を組んだ
目を閉じていたのに眩しい感覚
光に包まれる感覚
体がじんわりと暖まる感覚
グラマーの女性が土下座している姿
ん?
目を開くと体がスッキリしていた
何だったのだ・・・あの土下座は・・・
振り返ると部屋には誰も居らず、開け放たれた扉の外側で談笑する騎士と文官の姿が見えた
おれは小声でステータスオープンと言った
――――――
名前:佐藤 奏
称号:巻き込まれし者 創造主の傘下
レベル:1
HP:10
MP:10
攻撃力:10
防御力:10
俊敏:10
ユニークスキル
女神と対話
スキル一覧
融合の手 Lv.MAX 付属の手Lv.MAX 探索の目Lv.MAX
導出の手Lv.MAX 鑑定Lv.MAX 鉱物の好物Lv.MAX
調教師Lv.MAX 記憶力増加Lv.MAX 魔法全方位解放
錬金術Lv.1 MP上限解放
――――――
まてまてまて
冷静になれ、これかなりスキルチートだ。
手多いなー
創造主の傘下かよ、友達にしてくれ
しかも好物の鉱物って・・・間違えた。鉱物の好物って・・・
いやいや、これまさかさっきの土下座と関係ありそうだな、巻き込んだから謝ったついでにスキルもりもりって事か・・・
まぁ何しろレベル1でオール10って事は弱いに変わりはないだろう
あー剣とかで無双したかったなー