第4話 「守るからね、ママじゃん!?」
翌日の放課後。
俺は、校舎裏に呼び出されていた。
理由は簡単。
こはねが突然、「守る特訓しよ!」と言い出したからだ。
「いや、なんで俺が守られ特訓なんだよ」
「ケンタくん、昨日あんなに持ち上げられてたでしょ?」
「お前がな!!」
こはねは胸を張って言った。
「ケンタくんはね――
“守られ体質”なんだよ!」
「初耳!!?」
◆ ◆ ◆
■ 校舎裏に用意された“謎の特訓セット”
こはねが連れてきたのは、校舎裏の人気のない広場。
そこには――
・タイヤ
・ロープ
・砂袋
・鉄アレイ(誰の?)
・そして「ママじゃん強化メニュー」と書かれた紙
「どこで仕入れたんだこの装備!?」
こはねは満面の笑みで言う。
「ケンタくんを! 風間くんから守るための! 特訓だよ!」
「風間から!? なんで!?」
「だって昨日、風間くん……ケンタくんのこと、じーーーって見てたよ?」
「いや、違う意味での観察だろ、あれ!!」
こはねは拳を握りしめた。
「ケンタくんはね……
わたしが守るの!!!」
「もういいよ俺強くなるから!!!」
◆ ◆ ◆
■ 不可解すぎる“守られ特訓”
こはねが特訓第一弾を宣言する。
「まずは、このタイヤをケンタくんが転がして――
そのタイヤをわたしが壊す!」
「壊すなよ!!」
「大丈夫! ママじゃんのタイヤじゃないから!」
「何基準だよ!!」
次の特訓。
「このロープをケンタくんが握ってね。
わたしが引っ張るから!
吹っ飛ばされないように耐えてね!」
「それ拷問じゃん!!!!」
さらに次。
「この鉄アレイを持って――」
「持たねぇよ!? 誰が持つんだこれ!?」
「ケンタくんが強くなってくれたら……
守りやすいんだよ?」
「言ってる意味がおかしいんだよ……!!」
◆ ◆ ◆
■ そこにイケメン降臨
「やあ、二人口さん」
「うわ出た!!」
風間リンタが白いシャツをはためかせながら登場した。
なんでか逆光に見える。うざい。
「今日も観察に来たよ」
「観察!? やめてくれ!!」
風間はタイヤやロープを見て、感心したように言った。
「なるほど……君は鶏谷くんの“戦闘力”を上げようとしているんだね?」
「ちがうよ!!??」
風間はこはねに近づく。
「でも――
彼を守りたい気持ちは理解できる」
その瞬間、こはねの肩がピクッと震えた。
いやな予感しかしない。
◆ ◆ ◆
■ こはね、限界
「……やめて……近づかないで……」
こはねの声が震える。
風間「どうしたの?」
こはね「……ケンタくんに……触らないで……」
俺「触ってないからな!!?」
風間はにこっと笑った。
「君は……僕のライバルでもあるんだね」
「なんで俺を巻き込むんだよ!!!」
こはねの呼吸が乱れだす。
「はぁ……はぁ……だ、だめ……
ああ……筋肉が……!!」
俺
「やめろォォォォ!! 発作抑えろォ!!」
だがもう遅い。
◆ ◆ ◆
■ バキバキバキィィィ!!!
こはね
「マァァァァァァァマじゃぁぁぁぁぁん!!!!!!」
筋肉膨張!
肩幅が2倍!
袖が“パツン”と張り裂け!
こはね(超マッチョ)
「マッチョ♪ ママじゃ〜〜ん♪」
俺
「出たァァァァァァ!!!!!」
風間リンタ
「美しい……!」
「美しさの基準が破壊されてる!!」
こはねは俺の腕をつまむ。
「ケンタくん……守るからね……!!」
「怖い!!!!!!!」
そして次の瞬間――
ひょいっ
俺は再び片手で持ち上げられた。
「ひょい、じゃねぇよ!!!!」
風間が真剣な目でこはねを見る。
「二人口こはね……
こんなに強くなれるのは――
鶏谷ケンタの存在があるから、だ」
俺
「やめろォォォォ!!!
俺は何を誘発してんだよ!!!」
こはね(超マッチョ)
「ママじゃん……!!(涙目)」
俺
「泣くな! その姿で泣くな!! 怖いから!!」
◆ ◆ ◆
■ 発作が収まったあと
筋肉がすぅぅ……としぼんでいく。
こはね
「……ケンタくん、本当にごめん……」
俺
「いや……まあ……もう慣れたけど……いや慣れたくないけど」
そこへ風間が静かに言った。
「鶏谷ケンタ。
君のそばにいる限り……
二人口こはねの力は成長を続けるだろう」
「成長しなくていい!!」
風間
「だから僕は研究する。
君という存在を。」
俺
「やめてくれ!!!」
こはねは袖をぎゅっとつかむ。
「だいじょうぶだよ、ケンタくん……
わたしが守るからね……!」
「だから逆だって言ってんだろーーーー!!!!」
こうして、
戦う鶏頭・守るマッチョ女子・観察するイケメン
の三角関係(?)は、ますます混沌に向かっていくのだった。




