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最終話

この作品は正直選択肢考えるのが辛かったので、「俺と幼なじみと従姉妹の仲がるいので、誰か助けてください」に続きます

子供の頃から何度も恋人である冬子から訊かれていた。

「うん?まぁ、な」

歯切れが悪い回答を毎度繰り返していた。

俺の心の奥では本当に冬子が好きなのか、別の人からすり替えられているんじゃないか?

この疑問が頭をよぎる。

「あなたがプロポーズしたのは私。私だけを見て」

なにかに勝ち誇った笑み。

それは何を意味するのか、分からなかった。

ただそれを繰り返す度、俺は冬子が好きだと自分に言い聞かせていた。

「あなたを殺そうとしたのは春川凜々。あの子、私たちの間柄に嫉妬して私からあなたを引き離そうとした。悪い女でしょ?」

そうだ、俺が好きなのは天野冬子。

そして俺を亡き者にしようと目論んだのは春川凜々。

「違うよ!あなたを殺そうとしたのは、天野冬子。あなたが愛の告白したのは私、春川凜々。思い出して、あの時両手たくさんに抱えたたんぽぽの花を差し出して告白したことを!」

そうだ。俺が好きなのは春川凜々だ。

小さな頃、公園で遊ぶ俺と雄一郎を眩しそうに、どこか違う世界に迷い込んだ姫のような虚ろな両の眼で俺たちを見つめていた女の子。

ある日、いつもの公園で雄一郎と遊ぶ約束をしていた。その時はカードゲームを2人でやり、その後に少ない小遣いで新弾のパックを買おうと、昭和の子供が駄菓子屋でお菓子を買おうというようなノリで約束をしていた。

その日はいつもより早く公園についたので、対戦で使用するデッキの調整をしていた。

ジー。

あの子が木の影からこちらを凝視する。

俺はその子のことが実は気になっていた。

ボサボサの髪、生きる活力が見受けられない虚ろな両目。

ボロボロの衣服。

どこの家の子だろうと気にかけていた。

「このデッキの使用感確かめたいからやってみるか?」

「……やり方わからない」

「教えるぞ」

「できなかったらビンタしない?」

「しねぇよ」

「……じゃあやってみる」

おどろおどろと近づく少女。

ルールはゲームをプレイしながら教える。

最初はわからない度にこちらをチラチラと伺っていたその子。

比較的丁寧に教えた(つもり)

思いのほか飲み込みが早く、真剣に手札を見つめ、戦略を読んでいた(と思う)

まだ調整中と言えば言い訳がましく聞こえるが、わずか数戦でカードゲーム歴1年ほどの俺に勝つのも時間がかからなかった。

「カードの攻撃力上げる効果があるやつある?」

「あったはず」

「それじゃあこのカード抜いてそれ入れた方がいいんじゃないかな」

「…………」

「あ、ごめんなさい。でしゃばっちゃって」

「いや、目から鱗だ。そうか攻撃力をあげるか」

「うん、このカードの進化ラインはこのカードで補えるから中間進化多く入れずに済むよ。それでその枠にこのカードで行けば戦闘力高くなって活躍出来ると思う」

「初めてなのにすごいな」

「初めてじゃないよ。姉がやってるのを隣で見てただけ」

「お姉ちゃんいるんだ」

「うん」

「どんな人?」

「…………」

間が開く。

「悪魔」

「えっ!?」

「あの人は鬼と悪魔から生まれた子」

「そっか、よく分からないけど大変なんだな」

「うん」

「健人悪い、遅れた!っていつも俺たちを観察してる子じゃん。どうしたんだ?」

「お前が来る前のウォーミングアップしてた」

「そっか、よくわかんないけどよろしく」

雄一郎がその子に握手を求める。

「よろしく」

彼女が俺の友達の手を取った。

その時から俺たち3人は一緒にあそぶようになったのだ。



「思い出しましたか?」

「はい、全部」

「健人ちゃん……」

「春川、いや凜々。ごめん、思い出すのが遅れて」

「ううん、全てはあの女が悪いの」

瞳に涙を浮かべて喜んでいる真の恋人。

「それで神様」

「全ちゃん」

「……全ちゃん様、天野冬子をこれから成敗しに行きたいのですが、戻してくれますか?」

「そうしたいのは山々ですが、ひとつトラブルがありまして」

「「トラブル?」」

「はい」

困ったように眉を寄せる神様。

「天野冬子さんの行動が早すぎたのです」

「「早すぎた?」」

「はい、実はプロット通りに行けば天野冬子さんがあなたがたを殺害する選択肢を両方にするのは、この物語の最後の最後にして、そこ上であなたに全てを思い出して貰うはずでした」

「「……はい?」」

「あ、プロットというのはですね」

「いや、突っ込む所、そこじゃないです。いやそれも気になりますが、物語の最後の最後ってなんすか?まるで俺たちは決まったレールの上を歩かされてるかのような……」

「話を戻します」

「戻さないで!」

ごほんと咳払いする神様。

「つまり、天野冬子さんの行動はこちらからすると予想外の出来事です。本当はあなたにはもっとたくさんの選択肢を与えてバンバン死んでもらうつもりでした」

「物騒なこと言わないで!」

「ですので!」

ずいっと顔を近づける。

「近いです」

「まるでアドベンチャーゲームですね。は連載中止にします」

「一応聞きます。なんか返答が怖いですが、今後のために聞きます。何故ですか?」

「いや、ループさせるのはいいんだけど、選択肢固定がしんどい。小説でアドベンチャーゲーム再現するのって難しいね」

「「誰!?」」

「あら上司(さくしゃ)様」

「作者!?作者なの!?」

「いえーい、全知全能の神様の上司です。いえーい」

「そんな生中継中にカメラに映りこんだみたいなノリやめてくれません?」

「ってことだから健人ちゃんと凜々ちゃんの甘々なラブコメは別作品扱いとします」

「所でなんで健人「ちゃん」なの?と読者の疑問が見える見える」

「その話も追追やるYO」

「じゃあ全さん、この2人の記憶は消して別時空に飛ばして」

「「記憶消すの!?」」

「あ、君たちがお互い好きって気持ちはそのままだから」

「はいはい」

右手からピカーと光が放たれて俺たちの意識はそこで途切れた。

さて、皆さん気になっているであろう(ていうか気にしててください。お願いします)天野冬子のその後についてお話しましょう

天野冬子は健人と凜々を殺害した後逃亡。

あの施設は住宅街にあるため、勢いで殺人事件を起こして冬子はその後の対策などしていなく、返り血が染み付いた姿のまま現場から逃げた。

約1時間後に、見回りの職員により殺人事件が発覚してしまう。

頭から足まで血だらけで住民から不安の通報、さらに監視カメラにしっかり映っていたため、天野冬子の仕業だと世間に認知されるまで時間はかからなかった。

さらになんやかんやあって、父親が叢雲健人殺人事件の真実を歪めていた事が発覚。

天野家は全員もれなく刑務所に。

被害者である凜々の祖母はその寿命が尽きるまで、毎日2人がどこかで幸せになって欲しいと願っていたという。

以上で「まるでアドベンチャーゲームですね」は一旦幕を閉じます。

2人の別次元での話はまたそのうち投稿開始します。

では続きを待っている人がいると信じてまた会いましょう!

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― 新着の感想 ―
Xの方から伺わせていただきました! ここまで読んだ印象として、やっぱり作者様が最後にぶっちゃけてる通りやり辛いと思いながら書かれたものだったのかなという印象があります。 物語のゴチャゴチャしている感…
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