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プロローグ

ある大事件は一人の物によって世界へと拡大していった。この大事件は忘れ去られることはなく、人類の記憶に残り続けることだろう。


「殺せ!殺せ!皆殺しだ!通常者(・・・)どもを皆殺しだ!」

人間の形をした物は“通常者”と普段では使われていないであろう呼び方をしているが、普通の人間と違うのは呼び方だけではなく、それらは異様な能力を保有していた。

その能力を保有する物は人々を虐殺していっている。

「助けて!」

「殺さないで!」

人々はパニックになり悲鳴を上げ逃げ惑う。能力を保有する物は数が減ることはなくむしろ通常者を殺す物は増加の一途だ。

誰もが絶望し誰もが予想できなかったこの事件は、世界で問題視されることとなる。

この問題は簡単に解決することができなかった。

——その理由は世界大戦。

まさにこの事件に間には世界が国と国が戦争を行っていたのだ。戦争と能力を保有する物は一見関係のないものにも見えるがそうではない。通常者とは違う能力を保有する物‥‥“能力者”と呼ばれるそれらは、戦争で創られた産物。まさに自分たちで蒔いた種だったのだ。

この反乱を予想することができなかったのだろうか?と思う者も少なからずいるだろう。

しかし国の代表たちは戦争への勝利しか頭になかったのだ。


反乱により世界人口は減少、国の代表は今まで戦争をやっていたのが嘘のように協力し合おうといった。

世界各国の代表が集まり“世界会議”と呼ばれる会議が行われた。

議題は“能力者殲滅”、“戦争終結”などだ。しかし頭を抱えるのはそれだけではなかった。能力者を殲滅するというのが不可能に近かったからだ。

どんな武器で能力者に立ち向かおうともそれは失敗に終わる。

それほど能力者は強い物なのだ。

そんな問題に頭を抱えていた時一人の男が、五人の部下を連れて世界会議に乗り込んできた。

さらに耳を疑うことを言ったのだ。

「能力者殲滅は我々が引き受けよう」

この大事件は“通常者大虐殺事件”と呼ばれるようになり、そして能力者対通常者の戦いが始まったのだ。




——西暦二一六三年四月五日——通常者大虐殺事件から三年が経とうとしていた。

「ご覧ください。ここアメリカ、ルニエクスタリアでは世界各国の代表が慰霊碑に集まっています。二年ぶりの世界会議がここで行われるからです。今回の世界会議は何が議論され‥‥そして能力者から怯えずに暮らせる日々が来るのでしょうか?慰霊式典、世界会議開催を生中継でお送りいたします」

国々の代表は花束を抱え慰霊碑に近づく。

平和、やすらぎ、悲しみ、記憶といった花言葉を持つ花がきれいにまとめられ慰霊碑に置かれる。

ルニエクスタリアの慰霊碑は女性がモチーフになっており、髪から足にかけて長いレースが流れ、胸にはひび割れた赤い球体を持ち、表情は泣いている。

その石像は水の上に立ち、涙は止まることのない悲しみを、ひび割れた赤い球体は人の心、水たまりは多くの者の涙が表されている。

そして石碑には“このこと、忘れることなかれ”と書かれている。

誰も忘れてはならない事件、自分たちが招いた種だとしてもこのことは忘れることはないだろう。

「世界会議の開催期間は一週間、ルニエクスタリアでは様々な規制がされています。あ!皆さんご覧ください。代表の後ろにRPDの長官ウォリック・バード氏がいます。今回の世界会議にも参加されるとのことです」


——Professional Research Division——能力専門捜査本部


能力者の犯罪を専門とし、能力者殲滅組織。

そして代表の後ろにいる白髪のオールバック、目は糸目で瞳は見えないが眼鏡をかけており右目には眉毛から頬にかけて大きな傷がある。白のワイシャツ、赤ネクタイにブラウンのダブルスーツ、それに合った革靴。フラワーホールにはPRDのシンボルマークであるユニコーンが描かれたバッチを付けている。

彼がPRD設立者である、ウォリック・バードだ。

「ウォリック・バード氏による会見も控えており、PRDに期待が高まっています。そして三月三〇日からPRDに新たな捜査官が加わったとのことです。一般市民にとってPRDは救世主と言えるでしょう!」

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