表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/40

駆け落ち前夜

今回はラブシーン、ちょっと頑張ってみました

こういう “おはなし” にそんなものは求めていないという方は、明日の更新までとばして下さいねー(とばしても、意外と大丈夫だと思いますのでw)


 

 酒宴を終えて、宰相君は大急ぎで姫の元へ急ぐ。

「宰相さま?」

 真っ暗な屋敷内、後ろから声をかけてきたのは明石であった。


「明石か、今何時(なんどき)か?」

「月の高さから言って、亥の刻はとうに過ぎていると思いますが」

 遅くなった。姫は心細い思いで待っているだろう。行きかけて、宰相君はふと思い立ち、明石に礼を述べた。


「明石、お前はいい奴だな」

「は? 急になんでございますか?」

「いや、なんでもない。世話になった」

 最後の言葉は、明石はよく聞こえなかった。


(鉢かぶりどのの所へ急いで行かれるのだな。しかし、明日はどうされるおつもりか)

 何か自分に出来ることはないか、密かに心配している明石である。


 一方、姫は涙にくれながら、ぼんやりと月を眺めていた。

(今宵はもうお越しになられないのかしら)

 諦めかけた時、がたがたと臥所の戸を叩く音がする。

「遅くなりました」

「宰相さま!」


 立ち上がり、引き戸を開けた姫は、そのまま宰相君に縋り付く。

「姫! どうされました?」

「いいえ、なんでもありません」


 嬉しさで思わず抱きついてしまうとは、なんて恥ずかしいことを!

 慌てて離れようとした姫を、宰相君は離すまいとする。

 そのまま、粗末な寝具にふたりは倒れ込んだ。


『今日が最後』と決めている姫は、驚くほど積極的に、宰相君の愛を受けることに余念がない。

(どうしたのだろう)

 宰相君は(いぶか)しんだ。それほど、姫は貪欲に彼を求めてくる。


 ふたりの思惑は微妙にすれ違いながらも、同じことを考えていた。

『明日朝には、ふたりで屋敷を出る』

『明日朝には、ここを出て行こう』


 空が白み始める頃、疲れて眠っている宰相君の寝顔を、じっと姫は見つめていた。

(さようなら、宰相さま。こんな私のことを “ 愛しい、美しい ” と言って下さった方。どうぞお幸せに)


 そろそろと姫は立ち上がった。

 そのとき、宰相君の手が伸び、姫の手を掴んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ