ふしぎなノート
かこちゃんは、今日学校で、国語の教科書を忘れていて、先生に注意されました。
(あーあ、なんで忘れ物しちゃうんだろう)
かこちゃんは、昨日もおとといも忘れ物をして、先生に注意されていたのです。
げんちゃんが、
「おまえ、忘れ物名人だな」
と、からかうので、みんなから、
「忘れ物名人」
と、呼ばれるようになりました。
(いやだなぁ。学校に行きたくなくなっちゃった)
とぼとぼ歩いて帰っていると、めがねのおばあちゃんがやってきました。
「おや、どうしたんだい?」
「忘れ物ばっかりしちゃうの」
「それはこまったね。このノートをあげよう」
「えっ、ありがとう」
かこちゃんは、家に帰ってノートに、今日忘れ物をしたことを書きました。
そして、いやな気分になったこと、どうしたら忘れ物をしなくなるのかと、ぐちもいっぱい書きました。
すると、ノートがしゃべりはじめました。
「わたしに書いたら忘れ物なくなるよ!」
「あれ? ノートがしゃべった!」
かこちゃんは、びっくりしたけど、明日持っていく図書の本のことを書きました。
朝になりました。
ちょっと寝坊して、あわてて家を飛び出そうとしたとき、ノートから声が聞こえました。
「手提げカバン 忘れてるよ!」
「あっ、そうだった!」
手提げカバンを持って、無事学校につきました。
先生に、
「図書の本、忘れずに持ってこられたね」
と、ほめてもらえました。
「よかった~」
それから毎日、ノートに書くようになったかこちゃん。
忘れ物も全然しなくなりました。
げんちゃんが、
「おまえ、この頃忘れ物しないな。すげーじゃん」
って言ってくれました。
ノートが最後のページになりました。
かこちゃんは、最後のページに書きました。
「もう忘れ物しないよ。今までありがとう」
かこちゃんは、机の上にノートを置いて、晩ごはんを食べにリビングに行きました。
部屋にもどると、机の上のノートがなくなっていました。
(あれ? どこ行っちゃったんだろ。めがねのおばあちゃんのところに帰ったのかな?)
かこちゃんは、窓の外をみました。
夜空を飛んでいくノートがみえた気がしました。