私は縁の下の力持ち。
私たちは、順調に戦闘を重ねていた。
「おい。またアイテムがドロップしたぞ」
「はいはいはい」
私はそれをすかさず拾い上げる。
「まったく。お前は戦闘で全然に役に立ってないんだから、それぐらいさっさとやれよ」
はあ。ヴァン様は、きびしいなあ。でも許せちゃう。なぜなら、顔がカッコいいから!
これが前世の上司とかだったら、ストレスで胃が爆発してしまうだろう。
「戦闘にもだいぶ慣れてきましたね。ヴァン王子の剣捌きも見事です」
「ああ。なんだかいつもより体が動く。どうやら実戦を経験したことで、かなりレベルがアップしてしまったみたいだ。ヒューバーこそ、中々いい動きしてるぞ」
ここまでの目立った戦闘は、だいたい二人によって片付けられていた。
私がかけたサポート魔法も、どうやら気づかれていないようだ。
それよりも気になるのは、一緒にいるアリスがあまり活躍していないことだ。
光魔法は強力だし、ストーリーのためにもアリス自身が戦って強くならなければならない。それなのに、彼女は私の近くで身を固めながらパーティーの後を付いてくるだけだ。
「アリスさん。どうですか私たちの戦い。聖女であるあなたは、私たちが守りますよ」
「はい」
ヒューバーの自信満々なアピールにも、アリスはなんだか塩対応だ。
戦わなくとも、せめて好感度でも上げてくれればと思っていたが、それもイマイチな感じ。
いや、逆に見とれている? 分かる! だって二人ともカッコいいもん。
もしくは、どっちか選べないとか? ありえる! だって二人ともカッコいいもん!
「よし、次にいくぞ。他のパーティーには負けられないからな」
「ええ。君も遅れないように。まだ荷物持ちぐらいでしか役に立っていないんですから」
「こいつにはそれで十分だ。戦闘を任せたら、逆に足を引っ張りかねない」
「確かにそうですね」
つらい……。なぜここまで信用を失ってしまったのか。
でも、二人と一緒にいられると思えば耐えられる。むしろご褒美です!
「この訓練は、当然俺たちがトップをとる。ドロップしたアイテムを取り逃すなよ」
「は、はい!」
今回の実地訓練は、生徒たちのモチベーションを上げるという名目で、一応だが最後に順位が決められる。
順位の付け方は、ドロップアイテムによって決められる。より多く、より良いアイテムを集めたパーティーが上位に選ばれるのだ。
トップになったからといって特に報酬とかは用意されていないのだが、ゲームでは経験値がもらえるとかだったかな。
「あっ」
殺気だ。これは……。ブラックベア。
奥の方の木の陰に、大きな熊型モンスターの姿があった。どうやら、私たちを狙っているようだ。
幸い前を歩く二人は、まだその気配に気づいていない。
流石に、今の二人には厳しい相手だ。私にも嫌な思い出がある。
「どうしました?」
「いや、なんでも」
思わず声を出してしまい、近くにいたアリスが不思議そうな顔をしている。
でも大丈夫。彼女もまだブラックベアには気づいていない。
私は皆に見られないように、小さく圧縮した風の魔法をブラックベアの方へ放った。
魔法はブラックベアに触れると、その魔力を解放し、黒い巨体を風で包み込む。
よし。うまくいった。
風の魔力に切り刻まれて、ブラックベアは消滅した。
ちゃんと跡形もないように消しておかないと、後で見つかったら騒ぎになってしまう。
よしよし。ちゃんとパーティーメンバーにも気づかれていないな。成功だ。
制限時間が経過して、私たちは森の入り口に戻った。
他のパーティーの人たちも、すでにほとんど戻ってきている。
「さて、これで全員ね。負傷者が出たパーティーは、先に何人か学園に戻っているわ」
どうやら私たちが最後だったらしい。
まあ、けっこう奥の方まで行ってたからな。
「じゃあ早速、みんなのドロップアイテムを見てみましょう」
そう言って、メアリージュは生徒たちを一か所に集めた。
「じゃあ次は、あなたたちね」
私たちの番だ。
ヴァンを先頭に、四人で前に進み出る。
「おい、出せ」
「はい!」
彼の指示に従い、私は拾ったアイテムを前に並べた。
「こ、これは……」
皆の表情が驚きに変わる。
「いったいなんなのこの量は? それに、これはスライムの核。こっちはウルフの結石。これも……。あれも……。なぜこんなにレアアイテムが!?」
教師であるメアリージュも、かなり驚いている。
そりゃそうだ。他のパーティーのアイテムより何倍も多い上に、レアドロップのアイテムまでたくさんある。
「まあ、俺がいるパーティーなら当然のことだ」
ヴァン様の得意げな顔が、こんな近くで見れるなんて!
ああ。買っててよかった落とし玉。
ストックがなくなってしまったので、更新頻度が少し落ちます。すみません。
ブックマークしておいていただけるとありがたいです。




