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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ラジオの向こうから……。

作者: 麗紫 水晶

初めて……ホラー?と言う物語にチャレンジしました。夜中に執筆するには私には勇気が要る事で……。

 怖かったと思っていただけたら書いた甲斐があると言うもの。よろしくお願いします。

 私はしがないサラリーマン……。いつもの日常、いつもの仕事、変わらぬ時間……極々平凡な生活をしております。

 ですが、出来事は突然起きるもの……。私に起こった出来事をお話しましょう……。


 私はラジオが大好きで、いつも仕事をしながらでも合間を縫ってラジオ番組に聞き入っておりました。特に音楽やトークバラエティなどいつも楽しくさせてくれるパーソナリティには感謝でありました……。

 ある時、私のマイラジオが鳴らなくなり電池が切れたかな?と交換してみるも鳴らなく、電源を差してみるもそれもダメ。参ったな壊れてしまったか……。

 新しく買い直そうとも考えましたが、予算が無く次の給料日まで半月以上もある……。自分の食事代を削ってでも……いや、そうすると数日は良いかもだが半月はキツイ。半月ラジオが聞けないのもなぁ……と悩みつつ、番組が聞けないままに何日か過ぎ途方に暮れる感じになっていました。

 あんまり寂しそうにしてたんでしょう、会社の上司が私に差しだしてくれたのがラジオで……。


「これで、仕事を頑張ってくれよ!」


 と言ってくれ……お礼を言って、早速コンビニで電池を買いセットしてスイッチを入れると聞き慣れた声が……。嬉しくて泣きそうになるのを堪えながら番組に聞き入ってました。でも、これが……私にとって最初で最後のラジオになるとは、私自身想像すら出来ませんでした……。


 その日の夜、好きな深夜番組の入る曜日でずっとラジオを流していました。家の事をしながら、いつもの日常に戻ったと喜んでいました……。

 家事もひと段落し、ゆっくりと飲み物を片手にその番組が始まるまで聞いていました……上司に感謝しつつ……。

 で、時間が経ってその番組が放送をスタートしたんです。いつもの男女のパーソナリティで、楽しくいつも笑いが絶えないトークは私を和ませてくれるひと時でした……。


「今晩は!○○です♪」


「今晩は!いつになく眠たい○○です♪」


「えぇっ!ちょっと、いきなり寝ないでくださいよ!?まだ始まったばかりなんですから!」


「大丈夫、大丈夫。途中で寝ちゃったらよろしく!」


「嘘でしょ!それ、ホントに寝ちゃったら放送事故ですからね!」


「そうならない様に、今栄養剤飲んでるから。」


「なら良かった……じゃなくてっ!」


 ホントに聞いてて面白い……と感じつつ、番組がいつも通りに進行していったんです……。

 それが番組が中盤に差し掛かった頃です。


「えっ!?何っ?」


「お、おいおい何だ!?」


 パーソナリティの2人が驚いている声が……。


「急に照明がゆっくり着いたり消えたり……。」


「えぇっ!な、なんかヤダ……ナニコレ!?」


 スタジオブースの外側に居るスタッフさんも同様が。慌てて、照明を操作しているようでしたが戻る気配がありません。スタッフの1人が外に電源の確認に走っていきましたが、いくら経っても戻りません。


「なっ、ドアが開かないっ!」


「え、どういう事ですか?」


「そっちから開けられないかっ?」


 男性のパーソナリティがブースの外へ出ようとしたようですがどうあっても扉が開きません!向こう側に居るスタッフに手振りで開けてもらう様に頼んだようですが、そちら側からも開けられなくなっていて同じようにスタッフさんも開けようと必死の様でした。


「な、何だ!?一体どうなってるんだっ!!」


「え!?と、閉じ込められたって事?」


 と、閉じ込められた!?一体何が起きてるんだ?外に出られないって……しかも照明がゆっくり点滅してるって……。私には何が何だか分からない?私にはそのラジオから流れて来る音でしか判断できません。飲み物をテーブルに置いて、両手でラジオを掴み音を拾おうと聞き耳を立てて息を殺して聞いていました……ただならぬ事が起きている事だけは把握しつつ……。

 

「きゃっ!?ま、真っ暗っ!○○さんっ!?」


「おお、大丈夫か!?」


「こ、怖い……。」


「安心しろ!外には出られないが、この中には2人しか居ない。助けが来るまで待とう!」


「わ、分かりました。床に座って待ちます。」


「それが良い、俺もそうするよ。」


 ラジオから聞こえて来る声……2人がそこで必死に堪えているのが分かりました。でも、こんな時だからなのか落ち着かせてはくれません……ブース内と外の間にガラス窓があります。それなりの大きさで身振り手振りやマイクを通してスタッフさんとやり取りできるための窓……それを割れんばかりに叩く音が……。


「な、何だ!どうした!?」


「きゃあ、な、何!?何!?何!?」


 やがて、窓を引っ搔くような気味の悪いガラス音が上から下へと響いていました。中は暗闇で、何がどうなっているのか分からない……やがて、鍵の外れるような音が聞こえ……扉の開かれる音が……。


「な、なっ!お、おいっ!誰かいるのか!チーフか!?音響さんか!?返事をしてくれっ!!」


 男性パーソナリティの声が虚しく響くだけで……扉が開いたと言うのに返事が1つもない……。


「え……○○さん?無事!?」


 彼女も怯えた声で男性パーソナリティに話しかけます。


「大丈夫だ!薄暗くて良く見えないが扉が開いた音がした、一緒に出ようこっちに来られるか?」


「え、ええ。ゆっくりだけど、そっちに行くわ。」


 あちこちと机や椅子を掴みながら手探りでしょう、それらしき音が聞こえてきました。少しずつですが移動しているような音も……。


「な、何だっ!!や、辞めろっ!うがあぁっ!!う、腕がっ、腕がぁぁっっ!!!」


「ど、どうしたのっ!?○○さんっ!○○さんっ!!」


「くっ来るなっ!!来ちゃいけ………………。」


「○○さんっ!?○○さんっ!?……いやぁぁぁっ!!」


 彼女が暗闇と視界に映らない何かの恐怖が絶叫となって響き渡りました……と言って私にもここからじゃ何も出来ないし、声すら掛けられない!もどかしくも聞いている事しか出来ませんでした。

 すると、何かかみ砕くような音と……何かを啜っているような音……何かを租借するような音と……静まり返った中でその音が聞こえてきました……ガムを嚙むときのような音も……。


「あああ……○○さんっ……い、いや……助けて……こ、来ないでっ!」


 彼女は床を引きずるように元いた方へでしょうか……必死に逃げていました。ですが、租借するような音が止むと……床に吸い付くような静かな足音が彼女に近づいていきます……。


「い、いやっ!来ないでっ!来ないでっ!い、いやぁっ!やめっ!?………………。」


 彼女の悲鳴も途中で途切れ……先程のかみ砕く音や租借するような音等が響くだけでした……。

 私も戦慄ですっ!状態は分かりませんが、殺人が起こっている!しかも、パーソナリティ2人を殺してそれを喰らっている!?!?人間じゃないという事は分かりましたが、異常だ!ですが、次の瞬間私は聞き間違いか!?と思える言葉を聞いたのです……。


「次は……お前……だ…………。」


 はいっ!?!?!?……な、何だって!?わ、私って……聞いていたのを分かっているのか?

 ま、マズイっ! 慌ててスイッチを切りますがそのスタジオでの音は切れません!電池を抜いても……チャンネルを変えても……ボリュームを目一杯に絞っても……切れないんです、音が……。

 私も冷や汗と脂汗でしょうか、恐らく恐怖で真っ青になりながらラジオを止める事に必死でした……。最後の手段と床やテーブルの角に叩きつけ、上司に申し訳なく思いながらも……壊すしかないと思って勢いよく叩きつけてました……。


「と……止まった……。」


 ラジオからの流れてくる音がやっと切れて……ラジオは止まりました。私は安堵でその場にしゃがみ込んでました……明日、警察へ連絡しよう。状況を分かって貰えるかは分からないが、恐らくスタジオは大騒ぎだろう。どれだけこのリアルな状況を聞いていた人が居るだろうか?……息も落ち着かぬままに、明日の事を考えていました。しかし、最後のあの言葉……。

 ……「次は……お前……だ……。」……

 その言葉が引っかかりました……。一体誰に対してその言葉をつぶやいたのか……大勢聞いている中で……いや、まさかな……不安がよぎりつつも飲み物を手にしようとしたその時です!電気がいきなり消えて……私しか居るはずのない私の背後に気配が……。


「来たよ……約束……だ……。」


 背筋に悪寒が走りました!そうです、まさにラジオから聞こえて来た声……同じ声が私の背後からするのです……。全身が震え、身体が固くなったようで動くことがままならない状態で汗がとめどなく流れていました……恐怖に身体を支配されてます。


「次は……お前……だ…………。」


 そう言われて……震えながらも振り向いた時、急に目の前が真っ暗になりそこで私の意識は途切れました……。

 その後の事がどうなったかって?私にも分かりません………………何故なら、その”何か”に私も喰われてしまったから………………。










読了ありがとうございます。”夏のホラー2022”に取り上げてもらえるかは分かりませんが、勉強させてもらった事は嬉しく思います。ありがとうございました、紅龍騎神でした……♪♪

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― 新着の感想 ―
[良い点] 唐突に事が起こった感と、パニック起こしてる感。 [気になる点] なぜこうなったかの理由が描かれてないような気が。因果が無いからホラーに見えないのかもしれない。 [一言] ホラーというより、…
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