第1回戦の勝者
「あ…!しまった☆」
梨咲は思わず声をあげた。
原寸大の大きさで作製していたら…面積が足りなくなってきた。
何個かの教室を作った時点で気がつく。
「うーん…。」
急遽今まで造ったものを小さくする。
大きく精巧に造ってから小さくする、というやり方もあるので間違ってはいないなのだが、
再現度高く造りたかった梨咲の計算が狂った。
仕方ない…
造れるだけ造って… あとは…
一方のルイスは目を瞑り、集中し続ける。
広大な敷地の再現…記憶力が途切れる。
あれ、この先の道ってどうなってたっけ?
あれ…3番街道と勘違いしたかな?
仕方なく
地魔法の発動をやめ、記憶を探ることに集中する。
審判により制限時間のカウントが始まり、そして、
終わりを告げられた。
『両者、そこまで!手をとめて下さい。』
終わった瞬間2人は崩れ落ちた。
ダラダラと汗をかき、荒い呼吸を続ける。
梨咲はルイスの造ったものを見る。
範囲いっぱいに造られた広大なレスカーデン…。
へぇ…やるねぇ!
そう思いながら自分の造ったものを見る。
結局原寸大に戻し、敷地内に造れる範囲で再現した。
…何か、中途半端だな…(笑)
自分で苦笑する。
そして余った敷地で再現したもの…
「り…梨咲さん!それは… /// !!!」
ルイスは梨咲が造ったモノを見て喜ぶ。
「ん?…あぁ、敷地が余ったらな…」
それは梨咲の寮の自室。
「疲れてきた… ベッドで休みたい… 」との邪念から
余った敷地で寮の自室を再現してしまった。
最後に何となく造ったので部屋が丸見えだった。
パステルピンクと白で統一されたすっきりとした部屋に、ローチェストに置かれたアクリルビーズのアンティークのスタンドライトがアクセントになっている。
梨咲はふらふらとその再現した自室に移動し、清潔感溢れる手触りの良さそうなレースの布団と、ふかふかな枕にダイブする。
「ふゎ〜 ///」ルイスはぽーっとその様をみる。
布団に包まった梨咲は顔だけルイスに向けてにっこり微笑む。
「凄いの造ったな!やるじゃん!」
「…っ/// !!!」
ルイスは心臓を射貫かれた気分を味わう。
梨咲さんに褒められた!!!
コレは…もう… 梨咲さんに完敗…
ルイスは前のめりに倒れこんだ。
「え…?大丈夫か?」
梨咲は心配して思わずルイスに駆け寄った。
うつ伏せたルイスの背中に手を置き、顔を覗き込む。
「梨咲さん、甘いですね♡」
ルイスの腕が梨咲の首に巻き付き引き寄せられる。
きゃああああ〜!!!!! ///
ギャラリーから聞こえる悲鳴
また…キスされた…
梨咲はうんざりとするが魔法力が尽きているため攻撃魔法が使えない。反撃する体力も残っていない。
その変わりに頭をポンと叩く。
「…このヤロウ!覚えてろよ…!」
睨みも利かせられない。
ルイスはうつ伏せたまま顔だけ梨咲に向けて笑った。
梨咲もその隣に座る。
「…楽しかったな…♪」
それからルイスの横に並んで、仰向けで寝転んだ。
『あのー …お2人共? 判定に入りますよ?』
審判が困っていた。
梨咲の再現は見事だった。中等部の校舎が5階まで。
玄関、職員室、図書室、屋上、階段などなど。壁のキズやカーテンのほつれ、机の配置に至るまで。
ただ、ぶつ切れだった。
ルイスは範囲を見事に計算し、広大なレスカーデンがジオラマの様に広がる。
ただ、中等部から遠ければ遠い程、再現は曖昧だった。
『なかなか難しい審査でした。両者共に大差がありませんでした。この勝負、8.12点 対 7.89点で、ルイス・デヴィッド・ロートン選手の1勝とします。』
仰向けで聞いていた梨咲は目を瞑った。
やっぱぶつ切れはダメだったか…☆
ま、不得意分野で頑張った方よね…(笑)
「おめでとう!」
ルイスに向かって言ったが返事がない。
「?」
横を見ると ルイスは寝ていた。
そりゃあ、疲れたよね…。
梨咲も暫くその場から動けなかった。




