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決別

「決別…?どういう事?」

意味がわからなくてマリーに問う。


「単純に、このレスカーデンに居られなくなります。そして母国にも居場所が無いと言っています。

かと言ってこのまま猫の姿であってもお姉様の成長を見届ける自信もない…。凛は相当にこの先をどう生きるべきか迷っています。だから私もこのスリープの魔法を解けません。このままだと自害は時間の問題だからです。」


梨咲は眠り続ける凛を撫でる。

凛こそ本当に、私以上に縛られて…苦しい思いをしてきただろうに…。


「凛の幸せって何なんだろう…?」

凛がかつて梨咲に願った様に、梨咲も願う。

「何にも縛られずに、自由に、誰にも邪魔される事なく笑っていってくれたらいいのだけど…。」


梨咲の話を聞くと、マリーが遠慮がちに提案をする。


「あの、もしお姉様がお嫌で無ければなのですが…」


梨咲はマリーの提案に寂しさを感じつつ、凛の幸せを願ってお願いすることにした。




寮の階段を降り、マリーと共に外に出る。

とても良い天気で、心地良い風が吹いていた。

時間は平日の昼間。

一般生徒は授業を受けている時間だった。


梨咲は腕に抱えた 寝たままの凛を撫でる。

「…まず起こしてみましょうか?」

マリーの言葉に梨咲は頷いた。

マリーがスリープの魔法を解くと、凛は耳をぴくりと動かしてからゆっくり目を開けた。


「凛…!」

梨咲はぎゅっと凛を抱きしめた。

凛は何も言わずにその温もりを心地良く感じた。


梨咲は暫くの間 ぎゅっと凛を抱きしめる。

その間ずっと考えていた。


何から話せばいいのか…。


梨咲はこれからの事を言い出せずにいた。

話してしまったら… もう凛とは居られない…


躊躇いが続く。


「凛。私の事はわかる?」

マリーが助け舟を出す。

「はい、マリー様。夢の中で何度も交信して頂きましたから。」

「貴方がお姉様の幸せを願う様に、お姉様も貴方の幸せを願っている。私と一緒に参りましょうか、凛。」


梨咲はマリーの言葉を聞きながら涙を流した。


凛は唯一の理解者だった。

厳しかったけど…

いつも1番側で私を支え続けてくれた。

本当はずっと一緒にいて欲しい…。


だけど…


凛が苦しむなら、凛を解放してあげなくちゃ…。

もう何ものにも縛られずに自由に生きて欲しいから…


「そんなに泣かれたら、心配になるじゃないですか。ちゃんと1人でやっていかれますか?」


凛に叱られる。


最後まで冷たい。  コレが、凛の愛…


梨咲は涙を拭きながら頷く。


「これからは1人で、ちゃんと立って歩いて行くんですよ? 

大丈夫。みんながやっている事です。梨咲様なら出来ます。私がしっかり育てたんですから。」


凛の言葉にただただ頷く。


凛は小さくため息を吐いてマリーを見る。

「マリー様、私の最後の願いを叶えてくださいますか?」


マリーは頷いて凛に近づいた。

凛の首元にある見えないリボンを躊躇いなく解いていき、そのリボンを引いて取り去ると…



背の高い、銀髪の青年が現れた。

瞳は間違いなく凛だと思った。


凛は自分の手や体を見て、触る。

「魔法を掛けられた…18歳の時のままみたいですね。」


それから梨咲に近づいて目線を合わせる。

「ふふっ。こんなに小さかったんですか?いつも私より大きかったので不思議な気がします。」


梨咲は凛に飛びついて号泣した。

嬉しさと寂しさが混じり合う。


「人間に戻れたら梨咲様を抱きしめてみたいとずっと思っていましたよ?本当に…梨愛様にそっくりだ。」

凛も涙を浮かべながら、梨咲の涙をそっと拭った。


それから梨咲の両頬を押さえると、凛は梨咲にキスをした。

梨咲が驚いた顔を見せると凛はふふっと笑った。

「ずっと愛していました。これからも梨咲様への思いは変わらないでしょう。幸せを願っています。」


凛はそう言うと梨咲から離れた。


「ありがとう…凛…。私も、大好きだよ。」

泣きじゃくりながら梨咲も伝える。


凛は 本当はもう1度梨咲に抱きつきたかった。

でも、きりがない…。

離れられなくなってしまう…


凛は振り返らずにマリーと共に行ってしまった。


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