マリー・ベル 1
はぁ… はぁ…
レスカーデンの敷地を1人の少女が逃げ惑う。
少女は複数の大人達に追われていた。
やがて少女は追い詰められて行き場を失った。
「さぁ、我らと共に参りましょう。」
手が少女に近づく。
嫌…! 少女が目をぎゅっと瞑った瞬間…
シュッと突然何かが風を切る音がした。
「うわ…っ!」「何だ?!」
大人達の慌てる声とバタバタとした音。
少女が目を開けると、大人達は地面に倒れていた。
「こっちよ!」
少女は急に手を掴まれて走りだした。
走っている間に何回か風の魔法に包まれて、そうしてレスカーデンの東の深い森に辿り着いた。
森の一角にある山の頂上の拓けた展望台に着くと、
「大丈夫?」助けてくれた人が少女に振り返る。
少女は息を飲んだ。
何て、綺麗な人なの…
黒い大きな瞳。形の良い鼻と赤い唇。
白い肌、長くて綺麗なストレートの黒髪。
この辺りでは見かけない、異人種の様だった。
「ぁ… た、助けて下さってありがとうございます!」
少女は何とかお礼を伝えた。
「いいえ。大の大人が寄ってたかって女の子を追いかけ回しているのを見ていられなかっただけよ。」
長い黒髪のストレートを払いながらクールに話す。
か…かっこいい…! ///
美しくて、かっこいい!!!
少女は自分より年上のクールな美少女、梨咲のファンになった。
「ところで貴女は何で追われていたの?…ってあれ?貴女、ここの生徒じゃないの?」
少女は制服を着ていなかった。
質の良さそうなワンピースを着ている。
「はい…。私は異国よりこの地に参ったのですが、ここ(レスカーデン)へは人に会いに来たのです。どうしても会いたかったので…。」
少女の話を聞いて梨咲は少し羨ましく感じた。
「そう…。会いたい人がいるって…素敵ね!それで?
その会いたい人には会えたの?」
梨咲の言葉に少女は顔を横に振る。
「いいえ…。」
少女の沈んだ顔を見て、梨咲は居てもたっても居られなくなった。
「一緒に捜してあげようか?」
「え…!良いんですか?!」
少女はぱあっと明るい顔になった。
「うん。いいよ!」
梨咲が伝えると涙を滲ませて笑顔で喜んだ。
「ありがとうございます…!!!」
梨咲もその笑顔を見て嬉しい気持ちになった。
余程会いたい人なんだな…。
きっとその「会いたい人」も素敵な人に違いない。
「私は梨咲。貴女の名前は?」
「マリー・ベルです。」
聞くと少女は11歳だと言う。
純粋で表情がころころ変わる少女は歳より幼く感じた。小動物の様に愛らしい。
こういう子を、「守ってあげたい」とか思うのだろうな。梨咲ももれなくその1人となって、少女の想い人を捜す。
「で?その人の名前はわかる?」
「ルイス・デヴィッド・ロートン って言います。」
梨咲は動きが止まった。
「…ルイス?」
「知っておられますか?」
マリーは涙目になっている。
「うん、まぁ… わかるな…。」
梨咲は複雑な気分になってきた。
「よ… よし!連れて行ってやろう!」
梨咲は複雑な気持ちを抑えてマリーの意向を優先する。
「ありがとうございます!!」
マリーは眩しいばかりの笑顔を放つ。
か…かわいい!///
梨咲はマリーの笑顔に胸をキュンとさせた。
何だ…この気持ちは…
めちゃくちゃかわいいなこの子…///
しかし…この子はルイスとどういう関係なんだ…?
ルイスもどうせならこういう可愛い子と婚約すればいいのに…
梨咲はそう思いながらも心のどこかを痛める。
中等部の校舎に着くと見張りが沢山いた。
木の陰から梨咲は人数と場所を確認する。
「あの見張りは本来はマリーの護衛ってことよね?」
梨咲がマリーに確認すると、マリーは上目遣いに不安気に頷く。
梨咲は思わず笑って頭を撫でる。
「そんな心配そうな顔をするな!護衛は傷つけない様にする。ちゃんとルイスにも会わせてやる。」
梨咲がニッと笑って見せるとマリーは頬を赤くして梨咲にそっと抱きついた。
いちいち反応がかわいいなこの子…///
梨咲は完全にマリーのナイトになった気分で中等部校舎に向かう。




