果たし状
翌日ー
「はあぁぁぁぁ〜」梨咲は深い溜息をつきながら
自分の周りに防御魔法をかけた。
次の瞬間、勢いよく飛んできた無数の短刀。
防御魔法に阻まれて短刀が梨咲の周りに散らばり落ちた。
梨咲はその短刀の1つを拾いあげ、短刀に残っていた怨念を感じとる。
短刀に魔力をかけ返すと持主に向かって飛ばした。
きっと今頃、持主の体のどこかに短刀は刺さっている事だろう。
「何でこんな事にならなきゃいけないのよ!面倒ね…!」
肩に乗っていた使い魔の凛に八つ当たりする。
「まぁ…ルイス様もモテるお方ですからねぇ!」
「それよ!とんだとばっちり!逆恨みよ!私、全然あいつと関係ないじゃん!!!」
昨日からというもの、ルイスに思いを寄せる者達から呪いの籠もった魔法でちょこちょこ攻撃されていた。
「何言ってるんです!婚約者ではないですか…!」
「私は婚約者だなんて思ってない…」
次の瞬間、魔力で飛ばされてきた手紙が梨咲の机に刺さった。
「〜…(怒)!!もぉ〜、次から次に!!!
今度はなに?!!」
勢いよく立ち上がり机の上の手紙に注視する。
手紙は炎に包まれ形を変え、梨咲の机に文字を彫り出した。
何だ、何だ!とクラスメイト達も梨咲の机の周りに集まる。
「 果たし状 魔術5本勝負の決闘を申し込む
ルイス・デヴィッド・ロートン 」
凛と顔を見合わせる。
「…アイツ、 絶対婚約者じゃないでしょ…
婚約者に決闘申し込むか?ふつう…」
「そうですねぇ…」凛がダラダラと汗をかく。
「ま、売られたケンカは…買うけどね…」
不敵な笑みを浮かべながら、梨咲は右の掌を机にかざし、刻まれた文字を消していく。
「面白いやつだ。」
梨咲は少しだけルイスの事が気に入った。
1年生の教室
本を読んでいたルイスの机に手紙が刺さった。
手紙は炎に包まれ形を変え、机に文字を刻んでいく。
「 受諾した 詳細を待つ 英 梨咲 」
口角を上げルイスは静かに微笑んだ。
英 梨咲 の 文字をそっと指で触れ、口づける。
ゾクッ
梨咲は背中に寒気を感じつつ、魔術5本勝負の事を考える。
魔術5本勝負とは、古より伝わる決闘の方法。
1番 地属魔法
この勝負においては地の魔法を用い、より早く、大きく、精巧な創作物を作り出した方が勝者となる。
2番 風属魔法
この勝負においては風の魔法を用い、空中浮遊の耐久レース
3番 水属魔法
この勝負においては水の魔法を用い、癒しの作成
どちらが優れた癒しアイテムを作成出来るかで勝敗が決まる。
4番 召喚魔法
この勝負においては魔法陣を作成し獣を召喚。
より難易度の高い獣を召喚出来た方が勝者となる。
最後に…
5番 火属魔法
この勝負においては火の魔法を用い、相手が身につける直径1センチ程の天然石を粉砕した方が勝ち。
コレを1週間に1回ずつこなしていく。
そのためどんなに長引いても1週間がタイムリミット。
気力と体力を振り絞る、1対1の正々堂々直接対決。手出しは万死に値する。
今の時代、こんな古めかしい5本勝負をやるヤツはいない。梨咲にとっても初めての事だ。やったこともなければ、見た事もない。
ただ言えるのは、
敵意を剥き出しに真っ向から向かってくるルイスの姿勢に好感を持った。
梨咲もまた、妙な性癖の持主であった。
『ふふ… 待ち遠しい… ♪』
同時刻、違う場所
梨咲とルイスは偶然にも同じセリフを言った。
凛は隣で深い深いため息をついた。




