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身体は両性、思考は女性、だと思ってる

 

「竜人族の身体って長生きするからなのか便利なんだよ。性別も変えられれば、異なる種族を伴侶にした場合、寿命を分けることもできるよ。まあ、受け入れるまでが大変だったけど、今はもう便利だとしか思わないが」


 秋穂の話を聞いて、最初は寿命が長いことで悩んだと思ってたけど、それだけじゃなくて、もっといろいろあったんだね。病んでも仕方ない気がする。他人事ながら、同じ愛し子としてよく受け入れることが出来たと思う。


「あれ? じゃあ、秋穂の元の性別ってどっちなの?」


 てっきり女性だと思ってたけど、もしかしたら男性だったかもしれないのかな?


「んー……。秘密」


 にっこり笑って、どっちだろうね? と言う秋穂は教えてくれる気はなさそう。


「そういうことで、ディラン、朝子は私が守るからこのままで問題ないだろう?」


「…………わかった。ただし、必ず俺の目の届くところにいろ。秋穂を信用してないわけじゃないが、その方が安心だ」


 たっぷり間を開けてから、一つ溜息をついてディランが折れる。


 うーん。今回は秋穂のおかげでとりあえずこのままになったけど、これは私が強くならないとまた何かあったとき同じことを繰り返すことになるよね。


 今回の件が終わったらお兄様に頼んで魔法の特訓をしてもらおう。高い魔力は私の最大の武器になるはず。魔法がもっと上手く使えるようになれば、ディランに心配されることも足手まといになることもなくなるはず。





 なんとか話が纏まって日が傾いて来た頃、今日の目的地のオルカに着いた。街に着くと、馬車を御者へ任せて私達は今日泊る宿を探した。




「一泊。二人部屋一つと一人部屋二つ空いてるか?」


 宿屋に着くと、ディランは女将さんに部屋の空きを確認する。


「? 二人部屋二つじゃなくて?」


 昨日はティルとディラン、秋穂と私の部屋割りで泊った。同じでいいんじゃ? と思ってディランに聞く。


「阿呆」


 短く罵ると同時にデコピンされる。ディランに罵られるのって初めてだけど、そんな変なこと言ったかな?


「ふふっ。朝子、ディランは男と部屋で二人っきりになるのが心配なんだよ」


 理由がわからない私に、女性の姿に戻ってる秋穂が笑いながら教えてくれる。


「でも、昨日だって一緒だったし、私は大丈夫だよ? 宿代勿体なくない?」


 もしその気があったなら、それこそ昨日どうにかなってたと思うし、昼間、男の姿になったのだって同じ愛し子のよしみで私に助け船を出すために男になっただけだ。


「ダメだ」


 短い返答に取り付く島はなく、結局、部屋の空きもありティルとディランが二人部屋、私と秋穂はそれぞれ一人部屋を使うことになった。


 なんか、今日のディランは珍しいというか、いつもと少し違って変だ。

 

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