物凄く眠い時って変なことを口走る時あるよね
夕食後、私たちは宿へと戻ってきた。
飲みすぎという程ではないけど、そこそこアルコールが入っていて気分がいい。それと、少し眠たいかもしれない。
部屋のベッドに何となく横になってみたら、気持ち良くてこのまま寝てしまえそうだ。
「朝子はディランの事どう思ってるんだ?」
目は半分ほど閉じてしまって、微睡みに身を任せていると、秋穂が聞いてきた。
「んー……? んー…… 今、一番私の事を知ってる身近なひと……」
沈む意識をギリギリ維持して答える。頭が回ってなくて、思ったままの事が口からでる。
「それは家族で言う兄みたいなものか?」
「あに…… んーちょっと違う」
お兄様とはちょっと違う。確かに、お兄様も私の事をよく知ってるし、甘やかしてもくれる。むしろ、砂糖菓子の様に私に甘い。あれ? でも、ディランもなんだかんだ私に甘いな。なんだろう? なんか違うな。確かに、会った頃は世話焼きなお兄さんって感じだと思ってたけど、やっぱりお兄様とは違う。
眠気が強くなってきて、考えが纏まらない。もういいかな、このまま寝たいな。
「やっぱり、気づいてないんだな。じゃあ、ディランに彼女が出来たらどうする?」
彼女……。
彼女が出来るってことは、今みたいに一緒に冒険者活動したりするのはよくないよね。あと、一緒にご飯食べたりお酒飲んだりするのも駄目かなぁ。
ってことは、飲み過ぎて屋敷まで送ってもらうことも無くなる。ああ、そういえばディランとは冒険者ギルドかタルタル亭で会うか、ディランが屋敷まで訪ねて来なければ会うことも出来ないんだ。まあ、お父様なら連絡手段はあるだろうけど。そうかぁ、今まで気づかなかったけど、ディランと私の接点って思ったより少ないんだ。
一緒にいる時間が長い気がしたけど、それもディランが私に興味を持ってくれてたからで、彼女とか出来たら殆ど一緒にいる時間が無くなるのかな。それで、今まで私がいた場所に彼女がいるのかな。それは何か、
「嫌だなぁ……」
ギリギリ保っていた意識は、考えたことがどこまで口に出ていたかもわからなくなり、私は耐えていた眠気に負けてベッドに沈んだ。
窓から差し込む光が眩しくて目を覚ます。
「おはよう、朝子」
「おはよう……」
秋穂に声をかけられ、いつ寝たのかと考えると、昨日夕食を食べて帰ってきたらそのまま寝てしまったことを思い出した。
あちゃー。少し飲み過ぎたのかな? 途中でディランに止められたけど、グラスが空になりそうになると秋穂が何飲むか聞いてきたし、何よりおつまみが美味しすぎたからなぁ。
酔いが今日まで残ってなくてよかった。少し気を付けよう……。
「朝子、昨日話したことは覚えてる?」
記憶を掘り返していくと、朧気に何かを聞かれて答えたことを記憶の中から探し出す。朧気だったものが段々と鮮明になって行き、思い出した。
「おぼえ、て、る」
あ、あるぇ? 酔いと眠気でぐでんぐでんだったとは言え、中身いい年して彼女が出来たら嫌なんて事言ってなかった……?




