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扉を開けたらそこは異世界でした (心理的)

 

  扉を開けるとそこは雪国でもましてや不思議の街でもなく、私達が二日間過ごした客間よりも一段豪奢な部屋だった。


 そしてその部屋の中央よりやや手前の位置で、エキゾチックな竜人族の美女と、これといった特徴のない普通の男性が一人掛けのソファに向かい合って座り、間にあるテーブルの上を睨んでいる。


「む、私を訪ねて来たというのにこのような出迎えですまない」


 私達が部屋へと入ると、竜人族の美女がテーブルを睨んだままそう言った。


「いらっしゃい。キミがこっちに来てから僕はずっと見てたけど、こうして会うのは初めてだね。僕がこっちの世界にキミを呼んだんだよ」


 普通の男性もテーブルを睨みながらそう言う。


 …………って、ちょっと待って、今、私を、こっちの世界に呼んだってこの人言った!?


「は…どういう…?」


 聞き返さずにはいられない。


「ごめんね、今大変なところだからその話はまた後で」


 相変わらず二人してテーブルを睨みつけている。


 何がそんなに大変なのか気になってテーブルへと近づいて行くと、テーブルの上にあるものが見えた。


「……………………将棋?」


 大変って言うから何かと思ったのにこの二人、ただ将棋を指してるだけじゃん!?


「ああ、そうだ。今、此奴と酒を賭けて大事な勝負をしてる最中なんだ」


 酒!?


「僕が負けたら精霊の作る霊酒を譲る約束なんだ。別に、譲るのは構わないんだけど、取りに行くのがめんどくさいし、じゃあ勝負しようってことになったんだ」


 なんでそこで〝じゃあ勝負″になるの!?


「ちなみに、先に三勝した方の勝ちなんだけど、これがなかなか決着がつかなくて」


「ああ、早く諦めた方がいいんじゃないか? これは私の勝ちだろう」


「甘いよ、そう簡単に勝たせはしないさ」


 あ然としていたら、二人は勝負の続きに戻ったようで駒を睨みつけていて、そこに将棋に興味があるらしいティルが、テーブルまで行って二人の手元を凝視している。


「や、将棋してる場合じゃないから!!!」


 のほほんとした光景を目の当たりにし、一瞬ここに来た目的を忘れかけたけど、何とか自力で思い出すことができた。スタンピードを起こさない為に、怒りで暴走している火の妖精を止める為に竜人族の愛し子を連れて帰る。


「ホノル村近くのダンジョン!! 火の妖精が怒ってるから!!!」



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