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ティルを探して


 ティルがディランにかけた魔法。確か、迷子になっても探せるように位置がわかる魔法だったっけ。


「こっちだ」


 先導するディランについていく。


 最初は大通りを進んでいたが、途中から一本裏の道へと入る。たった一本道が違うだけなのに、表の大通りとは正反対だ。道は狭いし、昼間なのに薄暗くジメジメしている。


「表とは全然違うね。ティル、こんな方まで来ちゃったの?」


「ある程度大きな街は裏道に入っちまえばどこも似たようなもんだ。アイツ、まだ先っぽいな。早く見つけねえとやべえな」


 時折立ち止まり、ティルの気配を探っては進むことを繰り返す。奥へ進んでいくにつれ、少し不安になってくる。


「なんか、静かだね」


「ああ、妙だな」


 結構進んだと思うんだけど、これまで人の気配は全くなかった。いくら裏通りと言っても多少は人の気配があるもんじゃないのかな。



 不審に思っていると、近くの建物から野太い声が聞こえてきた。




「オラ、ガキ!! 大人しくしねえと大事なママンがどうなっても知らねえぞ!」


「やめて!!ママに酷いことしないでっ!」



「ティ……」


 ティルの声が聞こえた。思わず大声で呼びそうになったが、ハッとして口を両手でふさいでディランを見上げる。


「状況がわからねぇ。いい状況じゃねえことだけは確かだと思うが、とりあえず中の様子を探るぞ」


 小声でそう言ったディランに頷き、声のした建物を観察する。


 ティルの声が聞こえてきたのは、所々ガラスが割れてたり、壁が剥がれていたりとボロが目立つアパートの様な建物。外観からはとても人が住んでいる様には見えない。


 足音を立てないように、そっと近づいて、壁に耳を寄せる。



「逃げたガキが戻ってくるなんてな!これが日頃の行いってもんよ!」


「オメーの行いなんざ、ヤるか飯食うか寝てる位しか見たことねーよ」


「うるせー。俺はヨクボーにチュージツに生きてんだ。金が手に入って楽しく暮らせりゃそれでいいだろ」


「ハハハ。ちげぇねえ!! セイレーンは高く売れっからな。特にこの(アマ)は上玉だ。こんなデカいガキがいるようには見えねー。こりゃしばらく安泰だ」


 ゲラゲラと笑う耳障りな声が二人分聞こえてくる。


 話を聞くに、この二人はティルの村を襲って誘拐した犯人だろう。中にはティルとティルのお母さんもいるようだ。二人の状態は会話だけではわからないけど、このまま時間が経てばどこかへ売り飛ばされてしまうだろう。


「早く助けないと」


「とりあえず、中にいるのが二人だけか確認するぞ」


 音を立てないように割れた窓まで移動すると、ディランはポケットからビー玉位の大きさの柔らかそうな丸い玉を取り出して、呪文のようなものを呟くと、それをそっと割れた窓から中へと入れた。


「何入れたの?」


「あれはな、偵察にもってこいの魔道具だ。まあ、見てろ」


 魔道具が建物の中に入ってしばらくすると、入れた窓とは別の壁の穴から転がりながらでてきた。


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