報連相はどこでも大事
竜人の愛し子を探しに行くことが決まった私達は、妖精達と別れてホノル村へ戻った。今後の話をするため、私はティルとディランの部屋へとお邪魔していた。
「っていうか、竜人の愛し子を連れてこいって言われても、どこに居るかもわからないのにどうしよう」
私の活動範囲は狭い。この国から出たことはないし、ほとんどがラングスタール付近での活動だ。
「そうだな、取りあえず竜人の国に行けば何かわかるかもな」
竜人の国、と聞いて精霊とおやつを食べてたティルが元気に反応する。
「遠くへおでかけー!」
「ティルはいつも楽しそうだね」
「お兄ちゃんとおねえちゃんと一緒にいるのは楽しいよー!」
ティルが元気なのはいい事だ。それは兎も角、竜人の国とかあるんだ。って、あれ? そういえば亜人とかって見たことないような。うーん、わからない事はディランに聞くに限る。
「亜人って少ないの? 全然見たことないんだけど」
「ああ、そうか。見たことねぇよな。基本的に亜人はそれぞれ亜人の国にいることがほとんどだ」
「へー。それってなんで? 人間と仲良くないの?」
前世の漫画とかだと、人と共存して同じ街で住んでたりするイメージだけど、人間が亜人を奴隷として使ってた過去とかあって、滅茶苦茶敵視されてるパターンとかだったらどうしよう。
「いや、仲が悪い種族は少ねえ。ただ、亜人は亜人同士固まって生きてたほうが何かと都合がいいんだ。共存するにしても種族差が激しいと不便だからな」
悪い想像が当たらなくてよかった。現実はそんなもんかぁ。共存するにしても価値観も適正環境も違ったりするかもだし、折り合いつけるのが大変そうだもんね。だったら、お互い別の国同士仲良くしましょーの方が、かえって友好関係築けるのかも?
「じゃあ、竜人の国に行って探してみて、見つからなかったらまたその時考えるということで」
とりあえず、これで明日からの方針が決まった。
竜人の国は遠いらしく、一度ラングスタールまで戻って、準備を整えてから向う。
それと、ラングスタールについたら屋敷まで足を伸ばして、しばらく帰れないことを報告しにいくことになった。予定外の旅程になることを気にして、ディランが伝えとけと言ったからだ。
正直、言われなかったらわざわざ屋敷に寄るなんて考えなかったと思う。なんだろう、荷が重いんだけど普通に生きてたら遭遇できない出来事が沢山あって、少しワクワクしてる。
話すことは一先ず話し終えて、一旦解散する。時間が出来たからお風呂に入ってのんびり過ごし、疲れを癒やした。のんびりしてるとあっという間に日が落ちて、皆で夕食を頂いてその日は早めに休んだ。
ラングスタールまでは特にトラブルもなく順調に着いた。行きと同じように街で休息を取りながら移動したのは、妖精達との話合いでスタンピードが起こるまでは早くても半年はかかるだろうって結論がでたからだ。
竜人の国まではおおよそ一月。行って帰って来てもまだ時間は残ってる。
まあ、問題はすんなり竜人の愛し子が見つかるかってことなんだけどね。
ラングスタールについてすぐ、私達はギルドへと足を運んだ。
ホノル村の近くにあるダンジョンにスタンピードの予兆があることを知らせるためだ。ギルドへ報告しておけば、私達が間に合わなかったとしてもすぐに対処出来る。
ギルドへ着くと、ディランはカウンターに行ってギルド長に用があると伝えた。するとすぐに、私とティルごと別室へと案内された。
案内された部屋の中は執務室のようで、眼鏡をかけた神経質そうな男性が眉を寄せながら書類を睨んでいる。
「おい、それは間違いないのか」
書類を射殺さんばかりに睨んでいた男性がギルド長らしい。ディランから事の顛末を聞き終えると、顎に手を当てて眉間にシワを寄せた。
「ああ、それでついさっき戻って来たところだ。とりあえず俺らは竜人の愛し子を探しに行く。ただ、何処にいるかもわからねえ相手だ。見つからなかったり間に合わねえ時は頼んだ」
「当たり前だ。冒険者ギルドが有事の際に対応するのは義務だからな。本当なら見つかるかどうかもわからん相手を探すより、お前には討伐隊にいてもらったほうがいいんだがな」
ギルド長の言うことは最もだと思う。白金冒険者のディランの戦力は高い。普通だったら人探しに割いていい戦力ではない。
「つってもな。探し人も依頼主も普通の人間じゃねえからな」
「わかっている。妖精直々の依頼だろ、断ることは許されん。くそ、お前だけ見えるようになりやがって」
ん?
「全部終わったら報告してもらうからな。それから女、アサコと言ったか。戻ってきたらそこのセイレーンにこいつに掛けた魔法と同じ魔法を掛けるよう説得してくれ」
「えーヤダー。顔怖いもんー」
ティルは嫌そうな顔をして断る。
ってか、この人もしかして妖精が好きなのかな。羨ましがってるように聞こえるんだけど。
結局、さっさと行って帰ってこいとギルド長に執務室を追い出され、妖精が好きなのかは確かめることが出来なかった。
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