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まっさらならやったもん勝ち、かなあ?


 結局、私が動けるようになったのは二日後のことだった。


 朝起きて、体を動かしてみる。うん。だるくない。熱は下がって、咳も治まった。ティルを助けた時は必至だったとはいえ、少し調子に乗った感は否めない。


 ディランにも看病してもらって迷惑をかけた。


「これはダンジョン探索で返さないと」


 まだどんなダンジョンかはわからないが、ディランが持ってきたように日本語で書かれた物がダンジョン内にあれば役にはたてるだろう。


 心の中でそう考えながら部屋を出て、朝食を取りに宿泊者専用の食堂へと向かった。




「お、もう動けるのか」


「おはよう! おねえちゃん」


 食堂には既にティルとディランがいた。


「おはよう、迷惑かけてごめん」


「雨の中、急に飛び出してくのはもうやめろよ。せめて雨に濡れないようにして、どうしてもなら俺の手を引っ張っていけ」


 笑って、でも真剣にディランは言う。


 朝子は素直に頷き、二人と同じテーブルについた。



「ティルはこれからどうするの?」


 ふと、気になって聞いてみた。悪質な手口で誘拐されたティルは元々暮らしてた村へ帰れるのか。そもそも、ティルはみんな捕まったと言っていた。ティルの両親が無事かどうかもわからない。


「ボクはねー、おねえちゃん達とついてく」


「え」


 思ってもみなかったことを言われて反応出来ずにいると、ディランがここ数日であったことを教えてくれた。


 まず、ティルを保護した次の日に警備隊の隊長が宿に訪ねてきた。雨が止んですぐに、誘拐の捜査隊は結成され、ティルがいた洞窟を中心に林の中は捜査された。


 犯人は逃げたのか足取りは掴めなかったが、魔族の誘拐という重大犯罪に、これからも国を挙げての継続的な捜査が続けられるそう。


 被害者のティルは魔族の住む大陸へと送り届ける予定だったが、当の本人が自分で帰れるからとそれを拒否。


 私達についていくと言い、困っていた所にディランが白金の冒険者だと気づかれ、国からの依頼ということで発見者の私とディランの二人でティルの護衛と保護を要請されたとか。


 ・・・あの陛下が、面倒くさいことをディランに押し付けただけに思えるのはなんでだろう。そしてディラン、巻き込んでごめん。


 そんなこんなでティルのついていく発言に繋がるらしい。


「まあ、子供といっても魔族だ。不意をつかれなきゃその辺の人間よりは強い。なんとかなるだろ」


「なるなるー」


 そういいながら、テーブルでパンを囓ってる精霊をつついてる。花の妖精と精霊の組み合わせはかわいかったけど、ティルと精霊の組み合わせもかわいい。


 じゃ、なくて


「ティルも精霊が見えるの?」


「ボク見えるよー!」


 魔族は人間より遥かに魔力が高いから普通にみえるんだろう。とディランが補足してくれた。


「お兄ちゃんは見えないの?」


「俺は見えねえな」


 うーん。と両手を頬にあてて首を傾げながらティルは何かを考えている。


「そうだ! お兄ちゃん目! つぶって」


 早く早くーと言っディランに促す。ディランが目をつぶると、ディランのまぶたにそっと、人差し指と中指の二本の指を添えて聞き取れない呪文のようなものを唱える。


「もういいよ。あけてみて!」


 ティルの言葉を聞いてディランがゆっくり目を開ける。


 その目はテーブルの上に釘付けになっていた。


「それが、精霊か?」


 パンを囓ってる精霊を指差し言う。


「大成功ー」


 ティルは楽しそうにはしゃいでいる。え、見えるようになったの? 凄くない?


「何したの?」


「えっとねー、お兄ちゃんとボクを繋げたのー。これやると、どっちもどこにいるかわかっちゃうから、普通はママかパパが危ないからって子供にするのー。大きくなるとみんな嫌がるけど、お兄ちゃんならいいかなって」


 迷子防止みたいな魔法? なのか


「魔族は弱肉強食みてえなところがあるらしいからな。居場所の把握と、自衛の為の力を子供に持たせる為の魔法だろうな。俺の魔力が跳ね上がってやがる」


 便利だな、魔法。




 賑やかな朝食を済ませ、部屋に戻り準備を整える。予定より大幅に遅れたが、今度こそルコの街を出発だ。


「しゅっぱーつ」


 ティルの元気な声と共に馬車が走り出す。ティルが加わった馬車での移動は二人のときより一層、賑やかさが増した。




 その後の道中は晴天にも恵まれ順調に進んだ。一日馬車できりのいい所で街へ寄って泊まり、次の日また馬車で移動してを繰り返して、三日かけてついにホノル村についた。



 ・・・・・・・・・村?



「ディラン、これ本当に村?」


「人口100人足らずの村だ」


「人口とかじゃなくて、滅茶苦茶立派な純和風の旅館があるんだけど」


ホノルについたと言われ、馬車を降りたら純和風の老舗温泉旅館のような立派な建物の入口前で降ろされましたまる。


「じゅんわふー? が何かは知らねえが、この村はかなり特殊でな。この建物の中に村のすべてが集約されてる」


 これを本当に村と呼んでいいのか疑問しか残らない。私的には辺鄙なところにある老舗温泉旅館でしかないけど、入口にかけてある立派な看板にはこの国の文字で、ホノル村と書いてある。


 その看板には一見、洒落た模様が描かれてるように見えるけど、よく見ると日本語を少し崩して、


 〜いらっしゃいませ〜 


と書かれていた・・・。先人の日本人の方々、やらかしすぎじゃないでしょうかね。




 

ブクマ、評価ありがとうございます。

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