王妃の過去2
ある日、私は仕事で失敗をして、三日間外出禁止を言い渡された。普段ならご飯を抜かれるので、なぜだろうと思うと、アクアはにやりと笑ってこう言った。
「今日は王宮で舞踏会なのさ。王子の結婚相手を決めるためのね。もちろんあんたは行かせない。仕事を失敗したんだから当たり前さ」
何年もアクアにいじめられてきていたが、あんな辛さは、あんな怒りは、初めてだった。
でも、あんなに幸せな日も、初めてだった。
私は王宮の家臣たちによって、王のおふれに背いたとして、法律違反で連行され、牢獄に入れられた。そこで、私を見にきたという王子様、つまり今の国王に出会い、会話を交わし、私たちは恋に落ちた。
王子様は当時の国王をなんとか説得し、私と結婚すると、アメジスト母娘を国外に追放した。
結婚式で私は両親と再会した。私たちは涙を流して抱き合った。エメラルドの両親も再会を喜んでくれた。
そして、エメラルドとも再会し、マリンの家を抜け出したことを聞いた。昔よく通ったあの優しい医師の息子、アラン・クォーツと結婚して、娘がもうすぐ生まれるのだということも。エメラルドは私を抱きしめながら言った。
「あなたが救われて本当に良かった」
ハッピーエンドのオペラのような、幸せな結末。
そのはずだった。しかし、まだ続きがある。
私にも息子が生まれた頃、王宮にアランとエメラルドが駆け込んできた。
「ガ、ガーネット、助けて!あの子が、娘が、いなくなったの…!」
「なんですって?何か、手がかりはないの?」
「ないわよ!私たちの時もなかったはずでしょ?同じ手口よ。アメジスト家よ。戻ってきたんだわ。ねぇ、どうしたらいいの?」
彼女はひどく取り乱していた。当たり前だ。私たちにとって、あの日々はトラウマなのだ。
王に頼んで捜索してもらったが、結局所在はわからなかった。私は落ち込むエメラルドに、
「いつかきっと、救われるから。大丈夫だから」
そう、何度も言った。そんな言葉、エメラルドには慰めにもならなかっただろう。彼女の心は壊れ始め、私もとても辛かった。そんなエメラルドを、アランは優しく支えてくれている。今日の舞踏会にも来ているはずだ。
そしてもうすぐ、エメラルドは救われる。
エメラルド、もう、本当に大丈夫よ。あなたの娘はここにいる。




